ヒヴァ・ハン国

ヒヴァ・ハン国

ヒヴァ・ハン国（ウズベク語: خورزم دولتی）は、1512年から1920年までアムダリヤ川の下流及び中流地域で栄えたテュルク系のイスラム王朝です。この王朝はシャイバーニー朝やシビル・ハン国と同じく、ジョチ・ウルスのシバン家に属しています。王国の設立時はクフナ・ウルゲンチを首都としていましたが、17世紀前半にヒヴァに遷都し、以降この名前で知られるようになりました。

歴史

王朝の成立と初期の発展

ヒヴァ・ハン国の最初の王イルバルスは、ウズベク国家ブハラ・ハン国の創始者アブル＝ハイルとは別の系統の出身でした。彼の一族はアブル＝ハイル家と敵対しており、1500年に始まったムハンマド・シャイバーニー・ハンの遠征には参加しませんでした。1510年、シャイバーニー・ハンがサファヴィー朝に敗れた際、ホラズム地方はサファヴィー朝の支配下に入ります。この時、ホラズムの住民はイルバルスと彼の弟バイバルスに助けを求め、その結果1512年にイルバルスはこの地方を奪回し、王朝を樹立しました。

外交と内部の混乱

ヒヴァは1559年にロシアとの接触を持つようになり、以降も様々な外部勢力との交流を深めていきます。しかし、17世紀前半にはカザフやオイラトの遊牧民の侵入、イランの王朝との戦争などに苦しむことになります。ホラズム地方は1593年にブハラ・ハン国に占領され、一時的な混乱を迎えました。峻厳な状況ながらも、アブル＝ガーズィーやアヌーシャといった王たちは都市建設や灌漑事業に力を入れた時期もありましたが、内部紛争が続いていたため、安定した統治は実現しませんでした。

イナク朝の興隆

1770年代には、状況が悪化し、遊牧民による略奪が頻繁に起こる中で、イナク朝と呼ばれる新たな王朝が台頭します。1804年にはイルテュゼルが皇位を簒奪し、彼の支配の下で国はさらなる混乱に突入します。1816年には再びロシアとの抗争が始まり、ハン国は次第に衰退していきました。

ロシアの影響と制度の変化

1868年にはブハラがロシアに降伏し、ヒヴァ・ハン国もその影響を受けました。1873年にはヒヴァ戦争が起こり、ヒヴァは陥落、この時ロシアの保護国となります。この結果、ハン国は多くの条件を不本意ながら受け入れなければならなくなります。警戒心の高まった市民の中には反発の声もありましたが、ロシアの支配は強まる一方でした。

ヒヴァ・ハン国の滅亡

20世紀に入ると、イスファンディヤル・ハンの時代にジャディード運動が発展し、旧体制の改革を求める動きが高まりますが、内外からの圧力にさらされ続けました。1917年のロシア革命の影響で、ヒヴァの状況は急変し、急速に権力が移行していきます。最終的に1920年、赤軍とトルクメン人の攻撃を受けた結果、ヒヴァを放棄したジュナイド・ハンが逃亡し、サイード・アブドゥッラーの入城と共にヒヴァ・ハン国はその幕を閉じました。

経済と文化

ヒヴァ・ハン国は農業が支柱であり、アムダリヤの水系を利用した灌漑事業が発展しました。トルクメン人の移住が進む中で、地域経済は徐々に土地を耕し、商業も活発でした。文化面では、王朝の初期には実用性を重視した施設が多く建設され、特にイナク朝の時代には芸術性にも配慮された建物が増えていきます。なお、ヒヴァの中央アジアにおける位置づけと最後の王朝的役割は、今でも多くの人々にとって重要な学びの場です。

まとめ

ヒヴァ・ハン国は、ウズベク歴史の中で独特の色を持った重要な王朝であり、中央アジアの歴史的背景を知る上で欠かせない存在です。様々な勢力との交流と衝突、そして内部での権力移行の波を経て、この国は最終的に消滅しましたが、その文化的遺産は今なお中央アジアに影響を与えています。

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