トレイン・サーフィン

トレイン・サーフィンとは

トレイン・サーフィンは、走行中の列車、路面電車などの車体外側に乗って移動する行為です。トレイン・ホッピングやトレイン・ヒッチングとも呼ばれます。貨物列車に乗るフレート・ホッピングと混同されることもありますが、トレイン・サーフィンは列車の種類を問いません。

この行為は、転落、感電、構造物との衝突、飛び降り失敗などにより、死亡や重傷のリスクを伴います。多くの国で禁止されていますが、過密な列車では今も発生しています。

歴史

列車の外側に乗る行為は、初期の鉄道から存在しました。初期には屋根や踏み板に乗るのが一般的でしたが、列車の高速化に伴い、安全のため客室内に座席が設けられました。しかし、切符を持たない人々が外に乗るケースは後を絶ちませんでした。

アメリカ合衆国

南北戦争後、鉄道が西部へ伸びるにつれて、移動労働者「ホーボー」の間で一般化しました。世界恐慌のような経済的混乱期には、他の交通手段がない人々にも利用されました。

ヨーロッパ

20世紀前半には、路面電車の混雑により、踏み板や連結器、屋根に乗る乗客が見られました。第一次世界大戦や第二次世界大戦中には、兵士や難民が屋根に乗って移動することも頻繁にありました。

現代

20世紀中盤以降、欧米では列車の混雑緩和策によりトレイン・サーフィンは減少しました。しかし、東南アジアやアフリカでは過密な列車が問題となり、トレイン・サーフィンが増加しています。

1980年代には、南アフリカでエクストリームスポーツとして始まり、世界各地に広がりました。1980年代後半にはブラジルで多くの死傷者が出ました。ヨーロッパでは1990年代に通勤電車でのトレイン・サーフィンが見られるようになりました。

ドイツ

1990年代に「Sバーン・サーフィン」が流行し、2005年には「トレインライダー」と呼ばれる人物が現れました。彼の死亡報道は誤報でしたが、2008年には40人のティーンエイジャーがトレイン・サーフィンで死亡しました。

ロシア

ソ連時代には路面電車でのトレイン・サーフィンが見られ、崩壊後には経済危機とエクストリームスポーツへの興味から増加しました。21世紀に入ると、モスクワ地下鉄でも見られるようになりました。2010年代には、モスクワ近郊の列車の運休と混雑が原因で増加し、インターネットを通じて組織化も進みました。

日本

日本では、鉄道開設当初から客室に乗るのが前提でした。鉄道営業法では、客室以外への乗車を禁止しており、違反者は処罰の対象となります。戦後には混乱期に車外への乗車が頻発しましたが、その後は沈静化しました。近年では、貨物列車や車体外部への不正乗車が見られます。

現状

インド、バングラデシュ、南アフリカなどでは、日常的な移動手段となっています。これらの国々では人口密度が高く、列車の供給が需要に追いついていません。

インターネットの発達により、トレイン・サーフィン動画が拡散され、ソーシャルメディアを通じてコミュニティも形成されています。インドネシアでは、トレイン・サーファーを「ルーフライダー」と呼んでいます。

動機

トレイン・サーフィンを行う人々の動機は様々です。

スピードを体感する楽しさ
車窓よりも広い眺望
無賃乗車によるコスト削減
過密な車内を避けるための手段
通勤時の乗車スペースがない場合の代替手段
車内が暑い時の快適な移動
停車前の飛び降りや発車時の飛び乗りの利便性
貨物列車など、旅客輸送に使われていない列車への乗車

リスク

トレイン・サーフィンには、死亡や重傷のリスクが伴います。また、鉄道警察や警備員による逮捕・起訴のリスクにもさらされます。

防止と罰則

トレイン・サーフィンは多くの国で違法行為です。鉄道事業者は、警備員を配置し、監視を強化しています。警察官は駅や貨物ヤードで見回りをし、トレイン・サーファーを逮捕しています。法律により、罰金や懲役が科せられることもあります。

メルボルンでは、2010年の4ヶ月で87人が逮捕され、ロシアでは2011年に1000人以上が逮捕されました。インドでは、1日に153人が起訴された例もあります。

防止策

鉄道事業者は、トレイン・サーフィンの危険性を警告する掲示を行っています。ロンドン地下鉄は「チューブ・サーフィン」に対する啓発活動を行いました。インドネシア鉄道は、有刺鉄線の設置、ペンキによるマーキング、テレビCMなどを行いましたが効果がなく、最終的には線路上方にコンクリート球を吊るすことで対策を行いました。

脚注

関連情報として、不正乗車、駆け込み乗車、過積載などの問題、鉄道事故などがあげられます。

関連項目

不正乗車
駆け込み乗車
過積載
マナー
鉄道事故
Trainsurfer (映像作品)

外部リンク

Train Surfing: Assessment of Risk Jinx Magazine
Station 2: Trainsurfing article TV2
Danish news article
The Trainrider The complete account of The Trainrider

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