トロンプ (軽巡洋艦)

トロンプ軽巡洋艦について

トロンプ（Hr. Ms. Tromp）は、オランダ海軍における軽巡洋艦の一隻であり、トロンプ級軽巡洋艦のネームシップとして知られています。その艦名は、八十年戦争および英蘭戦争で活躍したマールテン・トロンプ提督と彼の息子であるコーネリス・トロンプ提督に由来します。姉妹艦にはヤコブ・ヴァン・ヘームスケルク（Hr. Ms. Jacob van Heemskerck）があります。

艦の概要

トロンプは1936年にアムステルダムの造船所で建造が開始され、1938年に正式に就役しました。最初は嚮導駆逐艦として建造されましたが、後にその役割を拡大し駆逐艦隊の旗艦として機能する軽巡洋艦となりました。本艦は日本海軍の軽巡洋艦夕張よりも若干大きいものの、第二次世界大戦中の巡洋艦としては最も小型の部類に入ります。

艦歴と活動

トロンプの艦歴は波乱に満ちています。就役早々の1939年には、オランダ王国のウィルヘルミナ女王とベルナード公によって北海での演習に参加する御召艦として選ばれました。その後、彼女はオランダ領東インドへ向かうことになります。

1940年には、オランダがナチス・ドイツに占領され、オランダ王室は亡命を余儀なくされました。その影響で、トロンプも戦局において重要な役割を果たします。1941年には、オーストラリアの軽巡洋艦シドニーとの遭遇戦やドイツの仮装巡洋艦との戦闘で、連合国の捜索活動を支援しました。

1942年、トロンプはABDA司令部の艦隊に参加し、日本軍に対抗するための出撃を行います。ジャワ沖海戦では日本の攻撃を受けて軽微な被害を受けながらも、連合軍の守備隊への救援を試みました。しかし、日本の地上攻撃に苦しむ中、艦隊は反撃を余儀なくされ、トロンプ自身も大きなダメージを受けました。

その後、トロンプは緊急修理を施され、オーストラリアへ撤退します。1944年以降はイギリス東洋艦隊に所属し、さまざまな作戦に参加しました。特に、イギリスとアメリカの艦隊と協力し、インド洋での演習や攻撃任務に従事しました。シドニーでの修理・整備の後は、彼女は多くの護衛任務をこなします。

戦後の活躍と退役

第二次世界大戦後、トロンプはイギリス太平洋艦隊に所属し、戦後の処理に貢献しました。最終的に彼女は1955年に退役し、1958年には正式に除籍されます。1968年にはスクラップとして売却され、1969年に解体されるまで、長い艦歴を持つ艦船としての役目を全うしました。

トロンプは、その戦歴や艦としての活躍から、戦争の歴史において特異な存在となっており、多くの艦ファンからも愛され続けています。

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