トーク・トーク

トーク・トーク (Talk Talk): 革新的な音楽性と後世への影響

トーク・トークは、1981年にイギリスで結成され、1991年に解散した音楽グループです。当初はデュラン・デュランと比較されるようなニューロマンティック・シンセポップグループとして活動していましたが、次第に音楽性を深化させ、バロック・ポップ、ジャズ、アンビエントなど多様な要素を融合した独自のサウンドを確立しました。

特に、後期に発表されたアルバム『スピリット・オブ・エデン』と『ラフィング・ストック』は、エクスペリメンタル・ロックやオルタナティヴ・ロック、特にポストロックのアーティストに大きな影響を与え、今日でも高く評価されています。

略歴

デビュー当初、トーク・トークはその音楽性からニューロマンティックに分類され、デュラン・デュランとしばしば比較されました。類似点としては、バンド名、ロキシー・ミュージックからの影響、同じレコードレーベルへの所属、プロデューサーがコリン・サーストンであったことなどが挙げられます。1982年にデビューアルバム『パーティーズ・オーヴァー』をリリースし、全英21位を記録しましたが、音楽メディアからの評価は「独創性のないデュラン・デュラン的なニューロマンティック・シンセポップバンド」と厳しいものでした。

1983年、シングル「My Foolish Friend」リリース後、キーボーディストのサイモン・ブレナーが脱退。その後、サポートメンバーとしてティム・フリーズ・グリーンが加入し、作曲とプロデュースを担当するようになります。

1984年発表の2ndアルバム『イッツ・マイ・ライフ』は、前作よりも好意的なレビューを受けました。シングル「Such a Shame」はオーストリア、ドイツ、イタリア、スイスでトップ5入りを果たし、タイトルトラック「It's My Life」もアメリカ、カナダ、フランス、ドイツ、ニュージーランド、オランダでトップ10入りするなど、国際的に商業的成功を収めました。しかし、本国イギリスではシングルが最高49位、アルバムが最高35位と苦戦しました。

1986年、3rdアルバム『カラー・オブ・スプリング』を発表。シンセポップやニューロマンティックからの脱却を図り、オルガン、ハーモニカ、サクソフォン、ハープなどの楽器を導入し、オーガニックなサウンドを獲得しました。このアルバムは全英8位を記録し、ヨーロッパ各国やその他の地域でも良好なセールスを記録しました。

『カラー・オブ・スプリング』の成功により、次作の制作に十分な資金と時間を費やすことができたグループは、多数の外部ミュージシャンを迎え、1988年に4thアルバム『スピリット・オブ・エデン』をリリース。長時間の即興演奏を元に、ホリスとフリーズ・グリーンが編集し、デジタル機器でアレンジを加えた結果、ロックに加え、クラシック、ジャズ、アンビエントなどの要素が融合した、実験的な作品となりました。評論家からは高く評価されましたが、アルバムに伴うツアーは行われませんでした。

1990年には、ベストアルバム『ナチュラル・ヒストリー - ザ・ベリー・ベスト・オブ・トーク・トーク』をリリースし、全英3位を獲得。全世界で100万枚以上を売り上げ、最大のヒット作となりました。同時期に「It's My Life」「Life's What You Make It」「Such a Shame」が再発され、「It's My Life」はシングルとして過去最高の全英13位を記録。同年、グループはポリドール・レコードと契約しますが、ポール・ウェッブが脱退し、オリジナルメンバーは2人となります。1991年にラストアルバム『ラフィング・ストック』をリリース。前作以上にミニマルなジャズ、アンビエント的なサウンドを展開し、評論家からの支持を得ましたが、全英26位に終わりました。翌年、グループは解散しました。

解散後

ポール・ウェッブとリー・ハリスは、解散後.O.rangというユニットを結成し、1994年と1996年に2枚のアルバムを発表。ウェッブは2002年にRustin Man名義でベス・ギボンズとのコラボレーションアルバム『アウト・オブ・シーズン』を発表。ハリスはBark Psychosisのアルバムに参加。マーク・ホリスは1998年にソロアルバム『マーク・ホリス』をリリースし、音楽業界から引退しました。2019年2月25日、マーク・ホリスが死去しました。

後進への影響

中期から後期にかけての独創的な音楽性から、アメリカのロックバンド、スリントと共にポストロックの先駆者として知られています。トーク・トークの影響を受けたアーティストとして、モグワイなどのポストロック、ポーティスヘッド、DJシャドウなどのトリップ・ホップ、レディオヘッド、デス・キャブ・フォー・キューティー、アーケイド・ファイアなどのオルタナティヴ・ロックバンドが挙げられ、多方面に渡る影響力の大きさが窺えます。シガー・ロスやウィーザーも、ライブでトーク・トークの楽曲をカバーしています。

メンバー

マーク・ホリス (Mark Hollis) - ボーカル、キーボード、ギター
リー・ハリス (Lee Harris) - ドラム、パーカッション
ポール・ウェッブ (Paul Webb) - ベース （1990年脱退）
サイモン・ブレナー (Simon Brenner) - キーボード （1983年脱退）
ティム・フリーズ・グリーン (Tim Friese-Greene) - キーボード、ピアノ、オルガン ※正式メンバーではないが、キャリア初期から楽器と作曲、プロデュース業を兼任

ディスコグラフィ

スタジオ・アルバム

『パーティーズ・オーヴァー』 - The Party's Over (1982年)
『イッツ・マイ・ライフ』 - It's My Life (1984年)
『カラー・オブ・スプリング』 - The Colour of Spring (1986年)
『スピリット・オブ・エデン』 - Spirit of Eden (1988年)
『ラフィング・ストック』 - Laughing Stock (1991年)

コンピレーション・アルバム

* 『ナチュラル・ヒストリー - ザ・ベリー・ベスト・オブ・トーク・トーク』 - Natural History: The Very Best of Talk Talk (1990年)

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