ドイツキリスト教民主同盟

ドイツキリスト教民主同盟(CDU)の概要



ドイツキリスト教民主同盟(CDU)は、1945年に結成されたドイツ中道右派政党です。キリスト教民主主義、自由主義、社会保守主義を基本理念とし、ドイツ政治において長年にわたり主要な役割を担ってきました。

CDUは、コンラート・アデナウアー、ルートヴィヒ・エアハルト、クルト・ゲオルク・キージンガー、ヘルムート・コール、そしてアンゲラ・メルケルなど、多くの連邦首相を輩出しており、その政策はドイツ社会に大きな影響を与えてきました。現在も、社会民主党(SPD)と並ぶドイツの二大政党として、連邦議会において重要な勢力を有しています。国際民主同盟にも加盟しています。

CDUは、バイエルン州を地盤とする姉妹政党であるキリスト教社会同盟(CSU)と連邦議会で統一会派(CDU/CSU)を形成し、SPDとともにドイツ政治における二大勢力を形成しています。バイエルン州ではCDUは活動しておらず、CSUが事実上のバイエルン州支部となっています。

政策的特色



宗教的根源: CDUは、あらゆる人々の尊厳、自由、平等を認める包括的な政党です。党綱領には、「キリスト教の理解によれば、人間、自然、環境は神の創造によるものである」と記されており、キリスト教的価値観を重視する一方、非キリスト教徒にも開かれた姿勢を示しています。欧州連合憲章における神に関する事項の定着にも尽力しています。

経済政策: CDUは、社会的市場経済の確立と発展に力を入れています。グローバリゼーションの進展の中で、経済的自由と社会的な公正の両立を目指し、完全雇用、安定した経済成長、健全な財政を目標としています。民営化や労働市場のフレキシブル化にも取り組む一方、財政字の解消を重視しています。

家族政策: CDUは、伝統的な家族観を尊重しつつ、同性愛者カップルの共同生活なども認めています。しかし、同性愛者カップルの法的権利の拡大については、慎重な姿勢を維持しており、登録パートナーシップと婚姻の完全な同等化には反対しています。

教育政策: CDUは、現行の中等教育システムの維持を主張しており、総合制学校の導入には反対しています。

国内政策: CDUは、社会の安全確保のために犯罪への厳格な対処を求め、大災害やテロへの対応においては連邦軍の国内への導入も容認しています。また、移民の社会的統合やドイツ語教育支援にも力を入れています。

外交政策: CDUは、アメリカとの良好な関係を重視し、欧州連合(EU)への積極的な関与を推進しています。トルコのEU加盟については、人権状況やキプロス問題などを考慮し、現状では時期尚早と考えています。

欧州政策: CDUは、欧州統合を積極的に推進しており、アデナウアー以来、欧州政党としての自覚を強く持っています。ユーロ導入やEU域内市場の創設など、欧州統合の歴史に大きな足跡を残してきました。

他党との関係: CDUは、自由民主党(FDP)との連立を優先的に考えていますが、SPDとの大連立政権も過去に複数回組んでいます。同盟90/緑の党|同盟90_緑の党との連立も州レベルでは存在しますが、左翼党や極右政党との連立は拒否しています。

キリスト教会との関係



CDUは、設立以来、キリスト教諸教派に属する者だけでなく、非キリスト教徒にも開かれた政党です。党内にはカトリック教徒とプロテスタント教徒の両方がおり、それぞれが独自の組織を形成しています。ただし、強い支持基盤がカトリック教徒の多い地域にあるため、かつてカトリック教会に強い影響力を持っていた中央党の後継政党として見なされることもあります。

歴史



CDUは、1945年の終戦直後に設立されました。当初は、各地域で組織がバラバラでしたが、その後、コンラート・アデナウアーの指導の下で党としての一体性を確立していきました。東西ドイツ分裂後、西ドイツではCDUが政権の中枢を担い、高度経済成長を遂げました。東西ドイツ統一後も、CDUはメルケル首相の下で長期政権を維持しましたが、近年は支持率の低下に直面しています。

歴代党首



CDUはこれまで多くの党首を輩出してきましたが、中でもアデナウアー、コール、メルケルは、連邦首相も務めた人物です。

内部構造



CDUは、バイエルン州以外の全州に支部組織を有し、各州議会においても議員団を構成しています。

支持基盤



CDUは、地方部やカトリック教徒の比率が高い地域で高い支持を得ています。一方、都市部や旧東ドイツ地域では支持率が低い傾向があります。しかし、近年は、伝統的な支持基盤の弱体化も懸念されています。

選挙における党勢推移



CDUは、連邦議会選挙や欧州議会議員選挙において、長年にわたって主要政党として存在感を示してきました。しかし近年は、支持率の低下や新興政党の台頭など、厳しい状況に直面しています。

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