ドイツキリスト教民主同盟 (東ドイツ)

ドイツキリスト教民主同盟（東ドイツ）

ドイツキリスト教民主同盟（Christlich-Demokratische Union Deutschlands, CDU）は、第二次世界大戦後の東ドイツに存在した政党です。西ドイツにも同名の政党（CDU(西)）が存在しましたが、本稿では東ドイツ側のCDU、通称CDU(東)について解説します。

成立と初期

第二次世界大戦終結後、ドイツは連合軍の占領下に置かれました。1945年、旧中央党の勢力を中心に、ドイツ各地でCDUが結成されます。ソ連占領区域でもCDUが結成され、当初は中産階級のキリスト教徒を代表する政党として活動を開始しました。しかし、ヤーコブ・カイザーのようなキリスト教左派（キリスト教社会主義）の政治家が台頭し、党内での影響力を強めていきました。

衛星政党化

ソ連占領区域では、ドイツ共産党（KPD）とドイツ社会民主党（SPD）が合同してドイツ社会主義統一党（SED）が結成され、スターリン主義に基づく共産主義化が進められました。1948年、カイザーがソ連占領区域から追放されると、CDU(東)はCDU(西)との関係を断絶。オットー・ヌシュケの下で、社会主義統一党主導の人民民主主義体制における衛星政党としての道を歩むことになります。

CDU(東)は、農村部において独自の組織力を保持していましたが、その勢力を削ぐため、ソ連軍と社会主義統一党は1948年にドイツ民主農民党（DBD）を設立。公式には、1949年のドイツ民主共和国（東ドイツ）建国後、1952年の党大会で社会主義（マルクス・レーニン主義）を受け入れました。

東ドイツにおいて、CDU(東)は人民議会の500議席中52議席を割り当てられ、形式的には一定の勢力を維持していました。しかし、東ドイツ憲法では社会主義統一党が国家を指導することが明記されており、CDU(東)が当局や社会主義統一党の政策に反対することはほとんどありませんでした。党首は国家評議会副議長、閣僚評議会副議長（副首相）などの要職に就き、完全に体制内の政党として機能しました。

ベルリンの壁崩壊と自由選挙

1989年、ポーランドやハンガリーでの民主化運動の影響を受け、東欧革命の波が東ドイツにも押し寄せました。CDU(東)もその影響を受け、民主化運動が盛り上がりを見せます。エーリッヒ・ホーネッカーが政権を追われ、ベルリンの壁が崩壊すると、ロタール・デメジエールが党首に就任。党は西側のCDU(西)に倣い、中道右派的なキリスト教民主主義へと路線を転換し、早期の東西ドイツ再統一と西ドイツの通貨であるドイツマルクの導入を掲げました。

これらの政策が支持を集め、東ドイツ最初で最後の自由選挙となった1990年3月18日の人民議会選挙では、ドイツ社会同盟（DSU）や民主主義の出発（DA）と保守政党連合「ドイツ連合」(Allianz für Deutschland)を組み、CDU(東)は圧勝。デメジエールは東ドイツ最後の首相に就任し、ドイツ再統一への道を開きました。

ドイツ再統一とCDU(西)への合流

選挙後、党所属のザビーネ・ベルクマン＝ポールが人民議会議長（暫定国家元首）に就任。その後、民主主義の出発を合併し、1990年10月のドイツ再統一に際して、CDU(東)はCDU(西)に合流し、その歴史に幕を閉じました。

歴代党首

1945: アンドレアス・ヘルメス(Andreas Hermes)
1946–1947: ヤーコブ・カイザー(Jakob Kaiser)
1948–1957: オットー・ヌシュケ(Otto Nuschke)
1958–1966: アウグスト・バッハ(August Bach)
1966–1989: ゲラルト・ゲッティング(Gerald Götting)
1989: ヴォルフガング・ハイル(Wolfgang Heyl)
1989–1990: ロタール・デメジエール(Lothar de Maizière)

関連項目

ドイツキリスト教民主同盟（旧西ドイツ側）
衛星政党
ヘゲモニー政党制

もう一度検索