ドイツ領トーゴラント

ドイツ領トーゴラント（ドイツ語: Schutzgebiet Togo）は、1884年から1916年にかけて西アフリカに存在したドイツ帝国の植民地です。現在のトーゴ共和国に加え、ガーナのヴォルタ州の大部分を支配していました。その面積は7万7355平方キロメートルに及びます。

ドイツの侵略と植民地化

1884年、アフリカ分割の時代、ドイツ帝国はトーゴラントを侵略しました。2月には、ドイツ軍がアネホの首長を誘拐し、保護条約の締結を強制するという強硬手段に出ています。ロメ地方では、ドイツ保護領カメルーンと同様に、グスタフ・ナハティガルが侵略を主導しました。同年7月5日、ナハティガルは現地のムラパ3世との間で保護条約を締結し、ベニン湾の奴隷海岸における領土を獲得しました。

1888年、ドイツの行政府は25人のハウサ人からなる歩兵隊(Polizeitruppe)を組織し、内陸部の侵略に利用しました。1890年時点でのドイツ人役人の人口はわずか12人でしたが、社会基盤の整備はアフリカにおいて最高水準に達し、内陸の山岳地帯に向けて道路や橋梁が建設されました。

1894年、Polizeitruppeは144人にまで拡大され、クパンドゥなどの「トーゴ中央の抵抗都市」は徹底的に破壊されました。住民の財産は没収され、一人あたり200から1110金マルクという高額な罰金が課せられました。1895年、首都ロメの人口はドイツ人31人と先住民2084人でした。

1899年、ドイツはイギリス帝国との間で領土交換を行い、トーゴ中立地域(イェンディとヴォルタ・トライアングル)を獲得する代わりに、ドイツ領サモア、北ソロモン諸島、トンガを割譲しました。また、行政府はカカオ、コーヒー、綿花の栽培を導入し、換金作物の生産を奨励しました。1901年には、アメリカ合衆国のタスキーギ研究所からジェームズ・キャロウェイをリーダーとする4人の綿花栽培指導者が派遣され、現地住民への指導が行われました。

鉄道建設と都市の発展

1905年にはロメとアネホを結ぶ鉄道が開通し、1907年にはロメとパリメを結ぶ鉄道が開通しました。1910年までに建設された道路は1000キロメートルを超え、1911年にはロメとアタクパメを結ぶ鉄道(後背地線)が開通しました。1913年までに、ロメの人口はドイツ人194人(うち女性33人)と先住民7042人に増加し、トーゴラント全体ではドイツ人は316人(うち女性61人、子供14人)でした。第一次世界大戦直前には、ロメは「西アフリカで最も美しい都市」と称されるほどに発展しました。

第一次世界大戦と植民地の終焉

1914年8月6日、連合軍はドイツの植民地に対して降伏勧告を行いました。翌8月7日、フランスとイギリスの軍隊がトーゴラントに侵攻を開始。当時のトーゴラントにはドイツ軍人はほとんどおらず、警察の司令官と副司令官として10人が駐在するのみでした。警察組織は、司令官1人と警察官660人で構成され、彼らが全土に配置されていました。連合国軍はロメを占領し、アタクパメ東部のカミナ・ラジオ局へと進軍しました。8月24日から25日にかけて、ラジオ局のドイツ人技師が施設を破壊し、8月26日、植民地政府は降伏しました。

分割統治と独立

1916年12月27日、トーゴラントはフランスとイギリスによって分割されました。1922年7月20日、ヴェルサイユ条約が批准され、トーゴラントは国際連盟のB級委任統治領となり、フランス領トーゴランドとイギリス領トーゴランドに分割されました。フランス領が全体の面積の約3分の2を占めました。1956年5月、イギリス領で国民投票が行われ、58%がガーナへの統合を望みました。1957年3月6日、ガーナがイギリスから独立し、同年12月13日、イギリス領トーゴランドはガーナに統合されました。1960年、フランス領トーゴランドはトーゴ共和国として独立を果たしました。

統治者

1884年：グスタフ・ナハティガル
1912年～1914年：アドルフ・フリードリヒ・ツー・メクレンブルク

関連項目

イギリス領黄金海岸
ドイツ西アフリカ会社
ドイツ領カメルーン
ドイツ領南西アフリカ
ドイツ領東アフリカ
トーゴの歴史

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