ドゥムノニア

ドゥムノニア（Dumnonia）

ドゥムノニアは、七王国時代にイングランドの西南部を支配していた重要な王国の一つです。この王国は、現在のデヴォン州やサマセット州の多く、さらにはドーセット州の一部も含まれていた可能性があります。ドゥムノニアは、ローマ帝国の末裔であるブリトン人の国として知られていますが、その西の境界については明確な記録が残っておらず、コーンウォール州がこの王国に属していたのかどうかも不明です。

王国の由来と特徴

「ドゥムノニア」という名称は、ダムノニ族に由来しています。この王国は単一の強力な王族の統治下にあったのか、それとも弱小な王族の集合であったのかは定かではありませんが、コーンウィ族という他の部族を従属させていた形跡があり、コーンウォール地方にも影響を及ぼしていたと考えられています。

名称はラテン語に由来し、綴りには多様性があり、DamnoniaやDomnoniaと記載されることもあります。ドゥムノニアは、同じくブリトン人の国である西ウェールズの部族や、後のウェセックスによっても知られ、記録が残されています。

文化と経済

ドゥムノニアはローマの影響を強く受けた地域であり、アングロサクソン人やデーン人が侵入していた激動の時代にあっても、独自の文化を保った異色の存在でした。例えば、カドベリー城に見られるように、鉄器時代の砦を改装した王族の城が存在し、またティンタジェルのように新しく築かれた城もありました。この地域では、ローマ帝国の土器が発見されており、ローマ時代の流れが続いていたことが伺えます。

ドゥムノニアの人々は、コーンウォール語へとつながるブリトン方言を用い、アイルランドからの移住者もこの地に住んでいたとされています。また、キリスト教が根付き、聖ピランや聖ペトロックのような伝道者によって、重要な修道院が設立されました。ボドミンやグラストンベリー、さらにはエクセターでもその痕跡が見られるのです。

イングランドとの関係

10世紀には、ブリトン人たちはエクセターに定住したサクソン人と共存していたが、イングランド王アゼルスタンは彼らの同居を禁じました。それにもかかわらず、エクセターの一部地域では『リトル・ブリテン』という名前が18世紀まで残りました。927年には、ドゥムノニアという名を持つ王朝がコーンウォールの東部で成立しましたが、西の国境に住むブリトン人たちは一定の自治を維持し続けました。

アーサー王との関連

ドゥムノニアはブリトン人の国であったため、アーサー王がこの王族出身である可能性が指摘されています。アーサーの祖父とされるコンスタンティンは、ブリトン伝承におけるクステンヌン・ゴーニュと名前が似ており、アーサー王物語に出てくる他の人物との名称も重なる点が見受けられます。5世紀の文献からは、ドゥムノニアのコンスタンティンがアーサー王伝説のコンスタンティン3世と類似して語られていることも明らかです。

また、アーサー王がバドン山の戦いで勝利した場所がドゥムノニア内のデヴォンであるとの説もあり、ただし多くの歴史家はその具体的な場所について様々な仮説を考えています。アーサー王の最後の戦い、カムランの戦場もキャメルフォード近くのスローター・ブリッジとされており、伝説と歴史が交錯している地域なのです。

結論

ドゥムノニアは、その独自の文化的背景と歴史的役割から、イングランド南西部の重要な王国として位置付けられています。アーサー王伝説に登場することからもわかるように、この地域は神話と歴史が深く結びついている地点であり、今も多くの人々に興味を持たれ続けています。

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