ドラゴン (対戦車ミサイル)

M47 ドラゴン：歩兵携行式対戦車ミサイルの詳細

M47 ドラゴンは、アメリカ陸軍がM67 90mm無反動砲の後継として採用した対戦車ミサイルです。マクドネル・ダグラス（現ボーイング）社によって開発され、1973年から運用が開始されました。開発名称はFGM-77。

運用

主に歩兵部隊に配備されており、M2ブラッドレー歩兵戦闘車4両で構成される機械化歩兵小隊では、各車両にM47を扱う対戦車特技兵が1名ずつ搭乗しています。アメリカ軍以外にも多くの国で使用されています。

供与国の1つであったイランでは、イラン革命後に「サーエゲ」という名前でコピー生産が行われました。イラン陸軍や革命防衛隊で使用されている他、イランの影響下にあるレバノンのヒズボラにも供与されていると見られています。

性能

全長（飛翔体）：115cm
重量（発射器込）：14.6kg
射程：約1,000m
誘導方式：光学照準・有線誘導式SACLOS

特徴

M47 ドラゴンの最大の特徴は、その独特な推進方式です。通常のミサイルとは異なり、推進用ロケットがミサイルの後方ではなく側面に、ゴルフボール大のものが5列12個（合計60個）配置されています。これらのロケットが1列ずつ順番に発火することで、ミサイルは目標に向かって飛翔します。

この方式の利点は、発射炎が小さく、射手への影響を軽減できることです。また、ミサイルの進路修正能力が高い一方、構造上の制約から長射程化は難しいとされています。

射撃時には、射手は独特な座った姿勢を取ります。ランチャー自体は使い捨てですが、照準器はランチャーから取り外して再利用できる設計となっています。

改良も進められており、1985年からはドラゴンII、1990年にはスーパードラゴンが登場し、最大射程は1,500mに延伸されました。しかし、20年以上にわたって使用されてきたM47 ドラゴンは、現在では後継のFGM-148 ジャベリンへの交代が進んでいます。

登場作品

M47 ドラゴンは、様々なメディア作品にも登場しています。

テレビドラマ
『NCIS:LA 〜極秘潜入捜査班』
ゲーム
『Wargame Red Dragon』：NATO陣営のアメリカ軍デッキで使用可能な対戦車兵器として、ドラゴンIIとスーパードラゴンが登場します。
『メタルギアシリーズ』
『MGSPW』：設計図を入手することで装備品として開発可能です。
『MGSV』：「CGM 25」という名称で登場し、実物とは異なり複数の目標を捕捉・攻撃できます。

関連項目

対戦車ミサイル
FGM-148 ジャベリン
レッドストーン兵器廠
* アメリカ合衆国のミサイル一覧

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