ドルツク

ドルツク：歴史の証人

ドルツク（ベラルーシ語: Друцк）は、ベラルーシのヴィーツェプスク州に位置する歴史的な村落です。ドルツィ川の右岸に位置し、マヒリョウ州との境界に近い場所にあります。かつてはドルツク公国の首都として栄え、その歴史はキエフ・ルーシ時代にまで遡ります。

キエフ・ルーシ時代のドルツク

ドルツクは、10世紀にはすでに都市として存在していたことが、『ドルツクの福音書』によって確認されています。発掘調査からは、1001年には最初の教会が建てられていたことがわかっています。年代記における初出は1092年であり、『モノマフの庭訓』にも1078年の出来事に関する記述の中にその名を見ることができます。

ドルツクは、ヴァリャーグからギリシアへの道の一部である西ドヴィナ川への連水陸路に面して建設され、戦略的に重要な位置を占めていました。11世紀から12世紀にかけてはポロツク公国の一部となり、フセスラフの死後、ポロツク公位を巡る争いに巻き込まれます。1101年にはドルツク公国の首都となり、1116年にほぼ完全に破壊されましたが、その後復興しました。ドルツク公国は、ポロツク公国の内外への影響力を高めようと活動しました。

1151年には、ポロツク公位を追われたログヴォロドがスルツクへ逃亡するのを助け、ログヴォロドのポロツク公復帰を支援する意志を表明しました。1158年には、チェルニゴフ公スヴャトスラフの援助を受けたログヴォロドがドルツクへ赴き、ドルツクの人々は当時のポロツク公ロスチスラフの子であるグレプを街から追放しました。ロスチスラフが報復攻撃を始めると、ログヴォロドを擁護するドルツクの人々は頑強に抵抗しました。この争いの結果、ログヴォロドはポロツク公位の請求権を放棄し、ドルツクに公として留まることになりました（ただし、ログヴォロドは1159年に再びポロツク公となります）。

ドルツクは13世紀初めに全盛期を迎え、14世紀の初めにはリトアニア大公国の一部となりました。

リトアニア大公国時代のドルツク

リトアニアの支配下において、ドルツクは細分化され、ドルツキー家から派生した分家や、以前にドルツク公国の一部を受領していた人々などによって支配されました。考古学的研究や文書史料は、当時のドルツクが重要な防衛拠点だったことを証明しています。

17世紀末のドイツ人ヨハン・ゲオルグ・コルブの記述によると、16世紀のドルツクは周囲7マイルの広さがあり、200の美しい聖堂で有名でしたが、度重なる戦争で焼失し、荒廃したと伝えられています。考古学的史料によると、火災や包囲戦による街の崩壊は、15世紀末から16世紀初めのこととされています。

リトアニア大公国とモスクワ大公国との戦争で、ドルツクの所有権は両者の間を行き来しました。17世紀までドルツク城が存在していましたが、街も城も破壊と復元が繰り返されました。ドルツクは政治・経済・軍事的な価値を失い、リトアニア・モスクワ双方への課税によって人口減少が引き起こされました。

現代のドルツク

現在、ドルツクには以下のような観光スポットがあります。

城址（11世紀 - 16世紀）
ゴルドジャルコフスキー家の屋敷（19世紀末 - 20世紀初）
* 生神女誕生教会（2001年）

ドルツクは、その長い歴史の中で様々な変遷を経験してきました。キエフ・ルーシ時代からリトアニア大公国時代にかけて、重要な役割を果たしたこの都市は、現在もその痕跡を留めています。訪れる人々は、かつてのドルツク公国の栄華を偲び、歴史の重みを感じることができるでしょう。

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