連水陸路

連水陸路（れんすいりくろ）とは

連水陸路（れんすいりくろ）とは、河川や湖沼の間を陸路でつなぎ、水上交通を補完する役割を果たした輸送路のことです。特にロシア史においては、内陸部の広大な地域を結びつける重要な役割を担いました。

ロシアにおける連水陸路

ロシア語では連水陸路を「волок（ヴォロク）」と呼び、「волочить（引きずる）」という動詞に由来します。キエフ・ルーシ期（9世紀 - 13世紀）から利用されており、二つの河川の間で船や物資を陸上輸送するために用いられました。航行可能な河川間では、船自体を陸上経由で引きずったり、担いで運んだりする様子が見られました。中世においては、「ラヂヤー」や丸木舟といった船が、連水陸路を越えて運ばれることがありました。

連水陸路は、都市の成立と発展にも影響を与えました。ヴォロコラムスクやヴイシニー・ヴォロチョークといった都市は、連水陸路沿いに建設され、その名残を今に伝えています。

現在では、多くの連水陸路が運河や他の交通手段に取って代わられましたが、一部は観光資源として活用されています。

ロシアの主要な連水陸路の例

スモレンスク連水陸路：カースプリャ川（西ドヴィナ川支流）とドニエプル川を結びます。グニョーズドヴォを通過し、中世の交易路「ヴァリャーグからギリシアへの道」の一部でした。
ノヴゴロド連水陸路（ヴイシニー連水陸路）：ツナ川（ヴォルホフ川、ネヴァ川を経由してバルト海に注ぐ）とトヴェルツァ川（ヴォルガ川支流）を結びます。ヴイシニー・ヴォロチョークの地名の由来となりました。
ニジニー連水陸路：ムスタ川（ネヴァ川支流）とボロヴィチ川瀬を結びます。ヴイシニー連水陸路に対応する名称です。
ドヴィナ連水陸路：北ドヴィナ川とラドガ湖を結びます。
ヴォルガ・ドン連水陸路：ヴォルガ川とドン川を結びます。カムイシン、ドゥボフカ、ヴォルゴグラード、イロヴリャ、カラチ・ナ・ドヌなどを接続しました。1952年にはヴォルガ・ドン運河が建設されました。
ヴォルガ連水陸路：サマラ州のジグリ山塊を直進するルートです。
ラーマ連水陸路：ヴォルガ川上流とモスクワ川を結びます。ヴォロコラムスクはこのルート上に建設されました。
スラヴ連水陸路：シェクスナ川（ヴォルガ川支流）とポロゾヴィツァ川（スホナ川を経由して北ドヴィナ川に注ぐ）を結びます。
ムィティシ連水陸路：ヤウザ川（モスクワ川支流）とクリャージマ川（オカ川支流）を結びます。

ベラルーシにおける連水陸路

ベラルーシでも、河川の分水嶺を越えて物資を輸送するために連水陸路が利用されました。西ドヴィナ川、ドニエプル川、ネマン川、西ブーフ川などの支流を結ぶものが存在しました。

プラウナ連水陸路：ダウガヴァ川、ウラ川、エサ川とプラウナ湖を結び、セルフチ川へと接続しました。
ミャゼル連水陸路：ミャゼル湖とミャストラ湖を結びます。
ドルツク連水陸路：10世紀から11世紀にかけて利用されました。
* Арэхаўскі連水陸路：ルチョサ川付近に存在し、8世紀から11世紀にかけて利用されました。

連水陸路は、中世のロシアやベラルーシにおいて、交易や人々の移動を支えた重要な交通路でした。その名残は、地名や歴史的な記録の中に今も息づいています。

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