ドルペッジョ

ドルペッジョ：イタリア中部の白ブドウ品種

ドルペッジョ（Drupeggio）は、イタリア中部のトスカーナ州およびウンブリア州オルヴィエートを中心に栽培されているワイン用の白ブドウ品種です。別名カナイオーロ・ビアンコ（Canaiolo bianco）とも呼ばれています。

ヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノとの混同

ドルペッジョは、同じくトスカーナの白ブドウ品種であるヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノとしばしば混同されます。ヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノもカナイオーロ・ビアンコの別名で知られており、同一の畑で同じ品種として扱われ、混醸されている可能性もあります。

ワイン生産におけるドルペッジョ

ドルペッジョは、複数の原産地統制呼称（D.O.C.）認定地域で使用が認められています。オルヴィエートDOC（Orvieto DOC）では、通常トレッビアーノ・トスカーノ、グレケット、ヴェルデッロ、マルヴァジーア・トスカーナとブレンドされます。また、バルコ・レアーレ・ディ・カルミニャーノDOC（Barco Reale di Carmignano DOC）では、赤ワインやロゼワインにも使用され、サンジョヴェーゼやカベルネ・ソーヴィニヨンとブレンドされます。

ドルペッジョはヴィン・サントの生産にも使用が認められていますが、ストローワインを作るのに十分なほど乾燥させるのが難しいため、イタリアのデザートワインとして名前が挙がることは非常に稀です。

歴史

ドルペッジョに関する最古の記録は、トスカーナでカナイオーロ・ビアンコという名前で登場したもので、1817年にはワイン生産に使用されていたことが記録されています。カナイオーロ・ビアンコは、ピンク色の果皮を持つカナイオーロ・ローザ種とは異なり、キャンティにブレンドされることのあるカナイオーロの色素変異体ではありません。

この品種の正確な起源は不明ですが、2011年までに行われたDNA型鑑定によって、トスカーナで栽培されている少なくとも6つの白ブドウ品種に対して「カナイオーロ・ビアンコ」という名称が使われていたことが判明しました。その中でも最も有名なのはヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノであり、同名のD.O.C.G.認定ワインに広く使用されています。その他、ドルペッジョと混同されることのある品種としては、ヴェルメンティーノや、ほぼ絶滅しているトスカーナの品種であるズッカッチョなどがあります。

ブドウ栽培

ドルペッジョは、成熟時期が中期から晩期にあたる品種です（キャンティでは9月下旬から10月上旬）。果房の大きさは中程度で、細身の円錐形で肩の部分に分岐があります。果実はやや小粒の円形で、白みがかった緑色をしています。白ブドウ品種としては果皮が比較的厚く、果実が乾燥しにくいため、ヴィン・サントのようなパッシートタイプのストローワインに使用されることは、複数のD.O.C.で認められているものの、非常に稀です。

「カナイオーロ・ビアンコ」の別名を持つ品種はいくつかありますが、特にトスカーナ州に多く見られます。Canaiolo bianco ARSIAL-CRA 402が唯一の正式なカナイオーロ・ビアンコのクローンであり、ドルペッジョはこのクローンに該当します。

ワイン生産地域

ドルペッジョは、イタリア中部以外ではほとんど見られません。栽培地域は、トスカーナ州、ウンブリア州、ラツィオ州からマルケ州、モリーゼ州にまたがっています。他のブドウ品種、特にトスカーナ州のヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノとの混同があるため、正確な栽培面積を把握することは困難です。2000年の統計では、栽培総面積は674ヘクタールと報告されていますが、他の「カナイオーロ・ビアンコ」の栽培面積が含まれている可能性が高いです。

「本物の」ドルペッジョの栽培の大部分はウンブリア州で見られ、同州のオルヴィエートDOCのワインでは、重要なブレンド用品種となっています。以前のD.O.C.の規定では、トレッビアーノ・トスカーノ（現地名プロカニコ）を主体（50〜65％）、ヴェルデッロを15〜25％使用し、残りの20〜30％の枠でグレケット、マルヴァジーア・トスカーナ、ドルペッジョのうち単体または複数の品種の使用が認められていました。現在はプロカニコとグレケットを単独または合わせて60％以上、その他の地元産白ブドウ品種を最大40％まで使用すると規定されていますが、ドルペッジョの使用は継続されています。

イタリアワインの専門家イアン・ダガータによると、トスカーナ州におけるドルペッジョの栽培面積は約110ヘクタールに過ぎません。フィレンツェ県、プラート県、アレッツォ県、ピストイア県のほか、グロッセート県やピサ市およびシエナ市周辺にも見られ、いくつかのD.O.C.ではマルヴァジーアやトレッビアーノとのブレンドが認められています。カルミニャーノDOCGおよびその下位クラスにあたるバルコ・レアーレ・ディ・カルミニャーノDOCでは、赤ワインおよびロゼワインにドルペッジョを使用することが認められており、サンジョヴェーゼ、カベルネ・ソーヴィニヨン、カナイオーロ・ネロ、カベルネ・フラン、トレッビアーノ・トスカーノ、マルヴァジーア・ビアンカ・ルンガとともに最大10％までドルペッジョをブレンドすることができます。

別名

長年にわたり、ドルペッジョは以下の様な別名で知られています。

カナイオーロ・ビアンコ (Canaiolo bianco)
ボッタイオ・ビアンコ (Bottaio bianco) （トスカーナ州）
カチネッロ (Cacinello) またはカッチューモ (Cacciumo) （モリーゼ州カンポバッソ県）
カナイオーラ (Canajola)
カニーナ (Canina) またはウーヴァ・デイ・カーニ (Uva dei Cani) （マルケ州アスコリ・ピチェーノ県）
ドルペッチョ (Drupeccio)
ルペッチョ (Lupeccio) またはトルペッチョ (Trupeccio) （ウンブリア州オルヴィエート）
ヴォルピッキオ (Volpicchio) （トスカーナ州）

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