ナワリヌイ (映画)

『ナワリヌイ』（原題: Navalny）は、ダニエル・ロアー監督による2022年のドキュメンタリー映画で、ロシアの野党指導者アレクセイ・ナワリヌイとその中毒事件に関する出来事を深く掘り下げています。HBO MaxとCNNフィルムズが共同製作し、2022年1月25日にサンダンス映画祭で初公開されました。

内容

この映画は、ナワリヌイが2020年8月20日にトムスクからモスクワへの飛行中にノビチョクという神経剤で中毒症状を起こし、重体に陥った事件を中心に展開します。緊急搬送されたオムスクの病院で昏睡状態となった後、ベルリンのシャリテー病院に搬送され治療を受けました。化学兵器禁止機関（OPCW）の認定を受けた複数の研究所で神経剤の使用が確認されています。ナワリヌイはウラジーミル・プーチン大統領を非難しましたが、クレムリン側は関与を否定し続けています。

映画では、ベリングキャットのジャーナリスト、クリスト・グローゼフとナワリヌイの反腐敗財団の調査責任者であるマリア・ペフチフが、プーチンの関与を示す証拠を明らかにする過程が描かれています。監督は、この映画を「一人の男と権威主義政権との闘いの物語」と表現しています。スリリングな展開の中で、権力と陰謀、そして真実を追求する人々の姿が浮き彫りになります。

製作

プロジェクトは2022年1月13日に発表され、当初はクリスト・グローゼフの調査を追う内容でした。監督のダニエル・ロアーは、カール・フォン・ハプスブルクからの紹介でグローゼフと出会い、映画製作が始まったと語っています。撮影はナワリヌイが昏睡状態から回復した直後から始まり、2021年1月の逮捕まで続けられました。空港での国境検査など、ナワリヌイに密着した撮影が行われたことも明かされています。

製作には、フィッシュボウル・フィルムズ、ライフィルム・スタジオズ、コテージ・MがHBO MaxとCNNフィルムズと共同で参加しました。ダイアン・ベッカー、メラニー・ミラー、シェーン・ボリス、オデッサ・レイ、エイミー・エンテリス、コートニー・セクストン、そしてマリア・ペフチフがプロデューサーを務めました。

公開

2022年1月25日にサンダンス映画祭でプレミア上映され、フェイバリット賞と観客賞を受賞しました。その後、ワーナー・ブラザース・ピクチャーズが米国配給権を取得し、2022年4月11日から12日に劇場公開されました。また、2022年4月24日にはCNNで初放送され、ストリーミングプラットフォームCNN+でも配信されました。HBO Maxでの配信は2022年5月26日に開始されました。イギリスでは2022年3月25日にBBC2で放送されています。

評価

映画の評価は非常に高く、レビュー集積サイトRotten Tomatoesでは、81件の批評家レビューに基づき、支持率99%、平均点8.6/10という高評価を得ています。「『ナワリヌイ』は手に汗握るスリラーのようなドキュメンタリーでありながら、権威主義に対する現実の闘いを深刻に描いている」と評されています。Metacriticでは、22件の批評に基づいて加重平均スコアが82/100となり、「概ね好評」と評価されています。

『ガーディアン』紙の批評家フィル・ハリソンは、この作品を「今まで目撃した中で最も衝撃的なものの一つ」と評し、5つ星満点の評価を与えました。また、『ニューヨーク・タイムズ』紙のベン・ケニグスバーグは、「ロアーはナワリヌイとその側近について、緊張感と吸収力のある見方を構築した」と賞賛し、批評家リストに加えています。

受賞とノミネート

サンダンス映画祭での受賞の他、多くの映画祭や賞でノミネートされています。

参考文献

公式ウェブサイトや映画データベースサイトなどで詳細な情報を確認できます。

外部リンク

公式ウェブサイト（日本語）
ナワリヌイ - allcinema
* Navalny - IMDb（英語）

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