ナーヤカ

ナーヤカの歴史と制度

ナーヤカ（なーやか）またはナーヤク（Nayaka）は、南インド、特にヴィジャヤナガル王国の封建的領主層を指します。この体系は、16世紀後半にヴィジャヤナガル王国の衰退とともに進化し、ナーヤカ朝を形成するに至ります。ナーヤカ制度の起源は古く、カーカティーヤ朝やホイサラ朝などの歴史的王朝に遡ります。これらの王朝では、農村や地区を管理するためにナーヤカに治めさせる方針が取られていました。

ナーヤカ制度の発展

ナーヤカの存在は14世紀初頭にさかのぼります。当時、カーカティーヤ朝とホイサラ朝はデリー・スルタン朝の攻撃を受け、これを受けて新たに南インドに建国されたのがヴィジャヤナガル王国です。この王国が成立するを通じて、ナーヤカはますます重要な役割を担うようになりました。最初、王国は中央から官吏を派遣して直接統治する方針でしたが、次第にナーヤカが自身のエリアを管理する形に変わっていきました。

15世紀末になるとサールヴァ朝の時代に、ナーヤカは自己の領地に特権を付与され、税収を確保する責任も担うようになります。これが「ナーヤカ制」と呼ばれる制度で、クリシュナ・デーヴァ・ラーヤの治世にはこれを強化し、国内の安定を図ると同時に税収の安定を図りました。ナーヤカは、王国の地元の状況を把握し、必要を満たすために活動していたため、地方の自立性をも意味しました。

ナーヤカの役割と関係

ヴィジャヤナガル王国の地方行政は、ナーヤカに多大な依存をしていました。ナーヤカは王国の4分の3の領域を管理し、地域の安定と発展の基盤となりました。彼らの中には、自身の領地に住む者もいれば、王都であるヴィジャヤナガルに住み、代官に自らの領地を任せる者もいました。これは地元の権力構造を形成し、行政の円滑さに寄与しました。

研究者たちの見解はナーヤカと王権の関係について意見が分かれます。ヴェンカタラマナイヤは、ナーヤカを西洋の封建制とは異なる存在として析出しましたが、ナーヤカに関する文献は限られており、その役割を明確にするのは困難です。バートン・シュタインは、ナーヤカが地域のトップの役割を果たす一方で、その下に広がる中小ナーヤカについては特に考慮しなかったため、ナーヤカの多様性を無視している部分もあります。

ナーヤカ制の崩壊とナーヤカ朝

1565年、ターリコータの戦においてヴィジャヤナガル王国が衰退し、ナーヤカたちは徐々に王からの独立性を強めていきました。シュリーランガ1世の治世時に、タミル地方やカルナータカ地方ではナーヤカの半独立政権が確立し、今や彼らはナーヤカ朝と呼ばれる独自の勢力となっていました。ナーヤカによる権力の分散は、王国衰退の要因ともなりました。

特にアーラヴィードゥ朝の時代には、ナーヤカの土地替えが行われなくなり、在地の権力が強化されました。これにより維持されていたナーヤカ制は事実上崩壊したといわれています。それでも、王国はナーヤカに対して完全に統制を失ったわけではなく、ヴェンカタ2世のような王は軍事的圧力をかけ、反乱を抑え込もうとしました。

ナーヤカの運命は、彼らが自己の領土を確保する過程で複雑化しました。大ナーヤカは独立を成し遂げる一方、中小ナーヤカは地元政権の下で生き残る道を選びました。18世紀には、ムガル帝国の衰退に伴い、ナーヤカは新たな政権の下で再度その存在を示すこととなります。

ナーヤカの終焉

しかし、18世紀後半からマイソール王国が台頭し、それによってナーヤカは次第にその権力を失っていきます。彼らは王国内で土地を没収され、直接徴税の対象となってしまったのです。1799年にはマイソール王国が戦争で敗北し、イギリスにその影響力を奪われてしまいました。ナーヤカ制は消えゆく運命を辿り、最終的には歴史の一部となっていきます。

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