ナーン県

ナーン県

ナーン県は、タイ北部にある県の一つです。ウッタラディット県、プレー県、パヤオ県と隣接し、東側はラオスとの国境を形成しています。森林に覆われた山岳地帯が広がり、ナーン川が県の中央を流れています。県内最高峰はラオス国境付近にあるプーケー山（標高2,079m）です。

歴史

かつてナーン地域には、独自の王国が存在していました。山々に囲まれた地形のため、他の地域との交流は限られていました。13世紀には、現在のプワ郡にあたるムアン・プワを中心にカーオ王国が成立しました。この王国はラーンサーン王家との血縁関係があるとされていますが、地理的な要因から、南側からのスコータイ王朝の影響が強かったとされています。

14世紀には、カーオ王国の中心地が現在の県庁所在地に移されました。15世紀にはスコータイ王朝の力が弱まり、ラーンナータイ王国がこの地域での主導権を握りました。1443年、カーオ王国のケーンターオ王は、パヤオへのベトナム軍の侵攻を名目に、ラーンナータイのティローカラート王にパヤオ占領の許可と援軍を要請しました。これは事実とは異なりましたが、結果的に6年後にはパヤオを制圧することに成功しました。

ラーンナータイ王国がビルマ軍に支配されると、カーオ王国もその支配下に置かれました。この時期、カーオ王国は幾度となく抵抗を試みましたが、1714年には完全にビルマの支配下に置かれました。1788年、ビルマの支配から脱し、ナーン王国として独立を回復しました。その後、1893年のパークナム事件（シャム危機）により、ナーン県の大部分がフランスに割譲されました。ナーンは独自の王国を持ちながらも、1931年には完全にタイ領となりました。

1960年代から1970年代にかけては、少数民族による共産主義ゲリラ、タイ人民解放戦線（PLAT）の反政府活動が活発化し、政府軍との間で激しい衝突が発生しました。1967年には、101の村が立ち退きを余儀なくされ、数万人の住民が移住、数千人の死者を出す大規模な衝突が起きました。現在、少数民族はタイ政府と和解し、反政府活動は沈静化しています。

民族

ナーン県の人口の約10.5%は山岳少数民族が占めています。彼らはこの地域に根付いた独自の文化や生活様式を維持しています。

県章

ナーン県の県章

行政区

ナーン県は15の郡（アムプー）に分かれており、その下には99の町（タムボン）、さらに848の村（ムーバーン）が存在します。これらの行政単位が、県内の政治、経済、社会活動を支えています。

関連項目

カーオ王国
ナーン王国

もう一度検索