ニオブララサウルス
ニオブララサウルス（Niobrarasaurus coleii）は、約8700万～8200万年前の白亜紀後期に生息していた、ノドサウルス科に分類される曲竜の一種です。化石は、現在のカンザス州西部に位置するニオブララ累層のスモーキーヒルチョーク層から発見されました。この地域は当時、西部内陸海路の中央付近にあたると考えられています。
ニオブララサウルスは、同じく曲竜類であるアンキロサウルス類とは異なり、尾に棍棒を持たないのが特徴です。その形態から、ノドサウルスに近縁であると考えられています。頭部はパウパウサウルスに似ており、比較的狭い形状をしていたことが、後年の研究で判明しました。
ニオブララサウルスの化石は、1930年に地質学者のヴァージル・コールによって発見されました。当初、1936年にミールによって Hierosaurus coleii （ヒエロサウルス・コレイー）として記載されました。しかし、ヒエロサウルスの模式種である H. sternbergi の固有形質が、丸みを帯びた頬骨のみであり、独自性に欠けるという指摘がなされ、ヒエロサウルス属自体が疑問名となりました。そのため、1995年にカーペンターによって新属 Niobrarasaurus が設立され、再記載されることとなりました。
最初の発見から約70年後には、未発掘だった断片的な頭骨が採集され、ニオブララサウルスの頭部形状に関する理解が深まりました。模式標本は、2002年にカンザス州ヘイズにあるスタンバーグ博物館に移送されています。
Carpenter, K., D. Dilkes, and D. B. Weishampel. 1995. The dinosaurs of the Niobrara Chalk Formation (upper Cretaceous, Kansas), Journal of Vertebrate Paleontology 15(2): 275-297.
Carpenter, K. and Everhart, M. J. 2007. Skull of the ankylosaur Niobrarasaurus coleii (Ankylosauria: Nodosauridae) from the Smoky Hill Chalk (Coniacian) of western Kansas. Transactions of the Kansas Academy of Science, 110(1/2): 1-9
Cole, V. B. 2007. Field notes regarding the 1930 discovery of the type specimen of Niobrarasaurus coleii, Gove County, Kansas. Transactions of the Kansas Academy of Science 110(1/2): 132-134.
Everhart, M. J. 2004. Notice of the transfer of the holotype specimen of Niobrarasaurus coleii (Ankylosauria; Nodosauridae) to the Sternberg Museum of Natural History. Transactions of the Kansas Academy of Science 107(3-4): 173-174.
Everhart, M. J. and S. A. Hamm. 2005. A new nodosaur specimen (Dinosauria: Nodosauridae) from the Smoky Hill Chalk (Upper Cretaceous) of western Kansas. Transactions of the Kansas Academy of Science 108(1/2): 15-21.
Liggett, G. A. 2005. A review of the dinosaurs from Kansas. Kansas Academy of Science. Transactions 108(1/2): 1-14.
Mehl, M. G. 1931. Aquatic dinosaur from the Niobrara of western Kansas. Bulletin of the Geological Society of America 42: 326-327.
Mehl, M. G. 1936. Hierosaurus coleii: a new aquatic dinosaur from the Niobrara Cretaceous of Kansas. Denison University Bulletin, Journal of the Scientific Laboratory 31: 1-20, 3 pls.
特徴
ニオブララサウルスは、同じく曲竜類であるアンキロサウルス類とは異なり、尾に棍棒を持たないのが特徴です。その形態から、ノドサウルスに近縁であると考えられています。頭部はパウパウサウルスに似ており、比較的狭い形状をしていたことが、後年の研究で判明しました。
発見と研究の歴史
ニオブララサウルスの化石は、1930年に地質学者のヴァージル・コールによって発見されました。当初、1936年にミールによって Hierosaurus coleii （ヒエロサウルス・コレイー）として記載されました。しかし、ヒエロサウルスの模式種である H. sternbergi の固有形質が、丸みを帯びた頬骨のみであり、独自性に欠けるという指摘がなされ、ヒエロサウルス属自体が疑問名となりました。そのため、1995年にカーペンターによって新属 Niobrarasaurus が設立され、再記載されることとなりました。
最初の発見から約70年後には、未発掘だった断片的な頭骨が採集され、ニオブララサウルスの頭部形状に関する理解が深まりました。模式標本は、2002年にカンザス州ヘイズにあるスタンバーグ博物館に移送されています。
主な参考文献
Carpenter, K., D. Dilkes, and D. B. Weishampel. 1995. The dinosaurs of the Niobrara Chalk Formation (upper Cretaceous, Kansas), Journal of Vertebrate Paleontology 15(2): 275-297.
Carpenter, K. and Everhart, M. J. 2007. Skull of the ankylosaur Niobrarasaurus coleii (Ankylosauria: Nodosauridae) from the Smoky Hill Chalk (Coniacian) of western Kansas. Transactions of the Kansas Academy of Science, 110(1/2): 1-9
Cole, V. B. 2007. Field notes regarding the 1930 discovery of the type specimen of Niobrarasaurus coleii, Gove County, Kansas. Transactions of the Kansas Academy of Science 110(1/2): 132-134.
Everhart, M. J. 2004. Notice of the transfer of the holotype specimen of Niobrarasaurus coleii (Ankylosauria; Nodosauridae) to the Sternberg Museum of Natural History. Transactions of the Kansas Academy of Science 107(3-4): 173-174.
Everhart, M. J. and S. A. Hamm. 2005. A new nodosaur specimen (Dinosauria: Nodosauridae) from the Smoky Hill Chalk (Upper Cretaceous) of western Kansas. Transactions of the Kansas Academy of Science 108(1/2): 15-21.
Liggett, G. A. 2005. A review of the dinosaurs from Kansas. Kansas Academy of Science. Transactions 108(1/2): 1-14.
Mehl, M. G. 1931. Aquatic dinosaur from the Niobrara of western Kansas. Bulletin of the Geological Society of America 42: 326-327.
Mehl, M. G. 1936. Hierosaurus coleii: a new aquatic dinosaur from the Niobrara Cretaceous of Kansas. Denison University Bulletin, Journal of the Scientific Laboratory 31: 1-20, 3 pls.
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