ニカイア攻囲戦 (1328年-1331年)

ニカイア攻囲戦（1328年 - 1331年）

1328年から1331年にかけて繰り広げられたニカイア攻囲戦は、オスマン帝国軍が東ローマ帝国の主要都市ニカイアを攻略した戦いです。この戦いは、オスマン帝国の勢力拡大において重要な転換点となりました。

背景

東ローマ帝国は、ラテン帝国からコンスタンティノープルを奪還した後、ギリシャの支配権回復に注力しました。しかし、そのためにアナトリア東部戦線からペロポネソス半島へと軍を移動させざるを得なくなり、ニカイア帝国時代に確保していたアナトリアの領土は、オスマン帝国の攻撃に晒されることになりました。オスマン帝国の攻撃は激しさを増し、東ローマ帝国はアナトリアからの撤退を余儀なくされました。

攻囲戦の開始

1326年頃には、ニカイア周辺の地域がオスマン1世の支配下に入り、ブルサも占領されました。ブルサは、東ローマ帝国の首都コンスタンティノープルに非常に近い位置にあり、オスマン帝国の新たな首都としてその脅威を増大させました。1328年、オスマン1世の息子オルハンは、1301年から断続的に続いていたニカイアの包囲を本格的に開始しました。オスマン帝国は湖畔の港からの補給路を完全に掌握できなかったため、戦いは長期化しました。

東ローマ帝国の反撃と挫折

1329年、東ローマ皇帝アンドロニコス3世パレオロゴスは、ニカイアの包囲を解こうと自ら軍を率いてオスマン軍に挑みました。ニコメディアとニカイアからオスマン軍を一時的に撤退させることに成功しましたが、ペレカノンの戦いで敗北し、その勢いは失われました。東ローマ軍は態勢を立て直せず、オスマン軍を押し返すことができませんでした。

ニカイアの陥落

結局、ニカイアは1331年にオスマン帝国軍の手に落ちました。この陥落は、東ローマ帝国にとって大きな痛手となり、帝国の衰退を決定づける出来事となりました。

ニカイアの歴史的意義

ニカイアは、かつてルーム・セルジューク朝の支配下にありましたが、1097年に東ローマ帝国の外交戦略と第一次十字軍の支援によって奪還されました。ラテン帝国時代には、ニカイア帝国の首都として栄え、オスマン帝国に陥落するまで東ローマ帝国にとってアジアにおける最も重要な都市の一つでした。この陥落は、ニカイアが持つ古代ギリシャ・ローマ時代からの長い歴史と、ニカイア公会議などの重要な歴史的出来事の終焉を意味しました。

その後の影響

ニカイアの陥落後、オスマン帝国の征服は急速に進みました。1337年にはニコメディアも陥落し、東ローマ帝国の勢力はさらに縮小しました。ニカイア攻囲戦は、オスマン帝国の拡大と東ローマ帝国の衰退を象徴する重要な戦いとして歴史に刻まれています。

参考文献

R.G. Grant, Battle: A Visual Journey Through 5,000 Years of Combat, Dorling Kindersley Publishers Ltd, 2005. ISBN 0-7566-1360-4

関連項目

ニカイア攻囲戦

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