ニュージーランドの競馬

ニュージーランド競馬：南半球の競馬文化

ニュージーランドの競馬は、北半球とは逆のシーズン（8月1日～7月31日）を迎え、独特の競走体系と文化を形成しています。南半球という地理的条件を生かし、北半球と南半球を行き来するシャトル種牡馬制度も盛んで、サラブレッド生産は約4500頭を数えます。ワイカト地方は馬産の中心地として知られ、ケンブリッジ牧場など名門牧場も存在します。

競馬場の運営と特徴

ニュージーランドの平地競馬場は「Racecourse」、繋駕速歩競走場は「Raceway」と呼ばれています。主要な平地競馬場としては、首都ウェリントンのトレンサム競馬場、最大都市オークランドのエラズリー競馬場、南島最大の都市クライストチャーチのリカルトンパーク競馬場が挙げられます。これらの競馬場は、それぞれウェリントン競馬会、オークランドサラブレッドレーシング、カンタベリージョッキークラブといったレーシングクラブによって運営されています。全国には60以上のレーシングクラブが存在しますが、規模や活動状況は様々です。これらのクラブはニュージーランド・サラブレッド・レーシング（NZTR）によって統括されています。

オーストラリアとの交流も盛んであり、競走馬の相互移動や競走内容にもその影響が見て取れます。また、ハンデ戦が主流となっていることも、ニュージーランド競馬の特徴の一つです。

競走の種類と歴史

ニュージーランド競馬の黎明期には、様々な品種の馬による混合競走が行われていましたが、1860年に初めてサラブレッドのみによる平地競馬が開催されました。その後、サラブレッドはイギリス、オーストラリア、南米などから輸入され、競馬はギャンブルとして発展していきました。そのため、ハンデ戦が定着し、クラシック競走の価値は比較的低いとされています。

19世紀後半には、主要都市の競馬クラブが駆歩競馬協議会を組織し、中長距離競走を重視する原則を確立しました。このため、ウェリントンカップやオークランドカップといった長距離ハンデ戦が、高額賞金の競走として人気を集めています。

クラシック競走は、当初南島のクライストチャーチで始まり、その後北島のオークランド、ウェリントンへと広がりました。各地で独自のクラシック競走が行われていましたが、1973年に再編され、現在の体系が確立しました。

速歩競走は、1870年代にサラブレッド競馬の余興として始まり、南島を中心に盛んに行われています。アメリカン・トロッターの輸入も進み、現在ではサラブレッド競馬を凌ぐ高額賞金の競走も開催されています。障害競走も古くから行われ、1904年にはニュージーランド産馬がイギリスのグランドナショナルを制するなど、国際的な活躍もみせています。

馬券の発売と運営

ニュージーランドでは、各地の競馬会が協同して運営を行う体制が確立されています。1880年には馬券発売票数を集計する機械が発明され、翌年には賭事富くじ法が制定されました。パリミュチュエル方式による馬券発売の独占により、ブックメーカーによる不正行為の抑止に成功しました。1949年には国民投票によって場外馬券公社（TAB）が設立され、非合法馬券の撲滅に貢献しました。現在では、競馬場内での発売を行うNZRBとTABの2つが馬券発売を独占しています。

主要競馬場と競走

ニュージーランドには多くの競馬場が存在しますが、特に有名な競馬場と主要競走について以下に記述します。

エラズリー競馬場 (オークランド)：オークランドカップ、ニュージーランドダービー、ザビールクラシックなど、国内最高峰の競走が数多く開催されます。年末年始のサマーカーニバルや、3月のオークランドカップウィークは特に注目を集めています。

トレンサム競馬場 (ウェリントン)：ウェリントンカップ、ニュージーランドオークス、テレグラフハンデキャップ、ソーンドンマイルなど、伝統的な競走が開催されています。1月のウェリントンカップ・カーニバルは重要なイベントです。

リカルトンパーク競馬場 (クライストチャーチ)：ニュージーランドカップ、ニュージーランド2000ギニー、ニュージーランド1000ギニーなど、歴史深い競走が開催されます。11月のニュージーランドカップウィークは、クライストチャーチのアディントン繋駕競走場でのニュージーランドトロッティングカップと同時開催される、重要なイベントとなっています。

その他の競馬場: ヘイスティングス競馬場（スプリングクラシック、チャレンジステークス、ウィンザーパークプレート）、テラパ競馬場（ハービーダイクステークス、ワイカトスプリント）、アワプニ競馬場（サイヤーズプロデュースステークス、アワプニゴールドカップ）、オタキ競馬場（ハウヌイファームWFAクラシック）、テアロハ競馬場（ブリーダーズステークス）、アヴォンデール競馬場（アヴォンデールカップ）など、各地で様々な競走が開催され、ニュージーランド競馬を盛り上げています。

主要競走

ニュージーランド競馬の主要競走は、年齢別（2歳、3歳、3歳以上）、距離、性別などに分類され、多くの競走がG1、G2、G3などのグレード制に属しています。また、ハンデ戦も多く、馬齢重量戦も存在します。特に2歳戦のカラカミリオンは、100万NZドルの高額賞金が魅力です。

著名な競走馬

ニュージーランドでは、カーバイン、ファーラップ、サンライン、ザビールなど、多くの名馬が輩出されてきました。これらの馬は、ニュージーランド競馬の歴史に大きな足跡を残しています。

繋駕速歩競走と障害競走

ニュージーランドでは、サラブレッドによる平地競走だけでなく、スタンダードブレッドによる繋駕速歩競走も盛んです。ニュージーランド・トロッティングカップは、高額賞金を誇る主要競走です。障害競走も古くから行われており、国際的な活躍もみせています。

まとめ

ニュージーランド競馬は、その地理的条件、歴史的背景、そして独自の競走体系によって、独特の文化を形成しています。ハンデ戦が中心であること、長距離競走が重視されること、そして速歩競走も盛んなことが特徴です。オーストラリアとの交流も深く、両国の競馬文化は密接に関連し合っています。今後ますます発展していくニュージーランド競馬から目が離せません。

もう一度検索