ニュースクール大学

ニューヨークの革新的な私立大学：ニュースクール大学

ニュースクール大学は、1919年、アメリカ合衆国ニューヨーク市のマンハッタンに設立された私立総合大学です。設立当初は「ニュー・スクール・フォー・ソーシャル・リサーチ」として知られ、著名な知識人や教育者らが、第一次世界大戦後の社会問題への対応として、自由な意見交換を重視する新しい教育機関を理想に掲げました。

設立当初から、既存の大学教育の枠にとらわれない、革新的な教育システムが特徴でした。社会問題への関心の高さから、黒人史や女性史といった、当時としては極めて珍しい科目をいち早く導入。学士号を持たない社会人や、第二次世界大戦下の亡命知識人なども受け入れ、多様な学生層を受け入れる開かれた環境を築きました。ロックフェラー財団の支援を受けて設立された「亡命者の大学」は、その象徴的な取り組みと言えるでしょう。

現在では、7つの大学から構成される総合大学へと発展。社会学、人文科学、建築、芸術、デザイン、音楽、演劇、経済学、心理学、公共政策など、幅広い分野をカバーしています。中でも、パーソンズ美術大学は、世界的に有名なデザイン学校として知られています。

教育内容も時代に合わせて進化してきました。創立当初は社会科学、国際情勢、歴史、哲学などが中心でしたが、その後、作文、パフォーミングアート、ファインアート、外国語、メディア研究、情報処理演劇、演劇、文学といった分野が加わりました。さらに、W・E・B・デュボイスによる黒人歴史文化の講義、マーガレット・ミードによる人類学コース、カレン・ホーナイとエーリッヒ・フロムによる精神分析コース、Gerda Lernerによる女性史コースなど、著名な学者らによる先駆的な授業が展開されました。

芸術分野においても、マーサ・グレアム、フランク・ロイド・ライト、アーロン・コープランド、W・H・オーデンといった、20世紀を代表するアーティストらが教鞭をとり、アメリカで初めて映画史や写真、ジャズを大学レベルで扱うコースを開設するなど、その先進的な姿勢は高く評価されています。

ニュースクール大学は、常に時代の変化に対応し、新しい教育の形を模索し続けてきました。設立当初の自由な議論と探究という理念を継承し、現代社会の課題に立ち向かう人材育成に貢献しています。7つの大学それぞれが専門分野において高いレベルの教育を提供し、高い学術研究と教育の質を維持しています。今日でも、高い知的好奇心を持つ学生たちが集まり、活気ある学びの場を提供し続けています。

傘下の7つの大学

パーソンズ美術大学 (Parsons The New School for Design)
マネス音楽大学 (Mannes College The New School for Music)
ニュースクール公共連携大学院 (The New School for Public Engagement)
ニュースクール社会研究大学院 (The New School for Social Research)
ユージン・ラング自由芸術大学 (Eugene Lang College The New School for Liberal Arts)
ニュースクール・ジャズ・アンド・コンテンポラリーミュージック (The New School for Jazz and Contemporary Music)
* ニュースクール演劇大学 (The New School for Drama)

これらの大学が連携することで、学生は多様な分野を横断的に学ぶことができ、創造性と批判的思考力を兼ね備えた人材へと成長を促しています。ニュースクール大学は、これからも教育における革新を続け、世界に影響を与える人材の育成に貢献していくでしょう。

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