ニュー商工

ニュー商工の歴史

ニュー商工は、長野市に存在した映画館で、その歴史は1927年に「菊田劇場」として幕を開けました。当初は1500人収容の芝居小屋として賑わい、長野市における初期の娯楽施設の一つとして重要な役割を果たしました。当時、長野市内には他に3館の映画館がありましたが、菊田劇場はその中でも大規模な施設でした。

第二次世界大戦後、1946年に菊田劇場は権堂町に移転し、「長野市営中央映画劇場」と改称、後に「長野東宝中劇」となります。一方、元の場所では1950年に「長野商工会館」として再出発、その後、東映の設立に伴い「長野東映商工会館」となりました。この頃には、高倉健が舞台挨拶に訪れたこともあったそうです。

1950年代の長野市は、映画館が最も活況を呈した時代であり、1953年には8館もの映画館が存在しました。しかし、1960年代以降、映画館の数は減少傾向に転じ、1976年には半分の8館にまで減ってしまいました。

1983年、ニュー商工は大規模な改築を行い、1500人収容の劇場から72席の小規模な映画館へと生まれ変わりました。この頃から成人映画の上映をメインとするようになり、時には時代劇や洋画のオールナイト興行も行われ、その独特な存在感を示しました。

2011年12月にボイラーが故障したことがきっかけで、2012年1月末をもって閉館することが決定し、1月31日にその歴史に幕を閉じました。最後の映写技師は、22年間同館に勤務したベテランで、かつて長野演芸館にも在籍していた青木一男氏でした。閉館後、建物は取り壊され、跡地は駐車場となっています。ニュー商工の閉館により、長野県内の映画館は14館に減少し、長野市内の映画館は、長野グランドシネマズ、長野松竹相生座、シネマポイント、長野千石劇場の4つとなりました。また、長野県内の成人映画館は、2019年8月時点で塩尻市の東座2のみとなっています。

株式会社長野商工会館について

株式会社長野商工会館は、かつて映画館「ニュー商工」を運営していた企業です。所在地はニュー商工と同じ長野県長野市大字鶴賀字西鶴賀町1469にあり、代表は塩瀬利雄でした。ニュー商工の取り壊し後の所在地は不明です。

補足

ニュー商工は、長野市の映画文化の変遷を象徴する存在でした。1920年代から2010年代まで、時代の変化とともにその姿を変えながら、多くの人々に映画の楽しさを届けてきました。閉館後、その建物は失われましたが、人々の記憶の中には、その名が刻まれています。

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