ネイティブダンサー (サカナクションの曲)

サカナクション「ネイティブダンサー」：楽曲解説と魅力

「ネイティブダンサー」は、日本のロックバンド、サカナクションが2009年にリリースした楽曲です。3rdアルバム『シンシロ』からのデジタルシングルとして発表され、その独特な世界観と美しいメロディで多くのファンを魅了しました。この曲は、2010年にSPACE SHOWER MUSIC VIDEO AWARDSでBEST CONCEPTUAL VIDEO賞を受賞した児玉裕一監督によるミュージックビデオも高く評価されています。

楽曲の構成と歌詞

「ネイティブダンサー」は、ヴァース・コーラス形式で構成されており、DキーのメジャーキーとBキーのマイナーキーが同時に録音されています。テンポは130 BPMに設定され、曲の長さは4分25秒です。ピアノのインストゥルメンタルによるG6-Asus4-Bm7の進行で始まり、アウトロがインストルメンタルコーダで終わるまで、ヴァース・コーラスともに一定の構成となっています。

歌詞は、思い出を冬の花に例え、恋愛を悲しげに振り返る主人公の心情を描いています。その切ない歌詞と、美しいメロディが組み合わさることで、聴く人の心に深く響く楽曲となっています。

制作背景

サカナクションは、北海道を拠点に活動していたインディーズ時代を経て、2008年に東京へ拠点を移し、メジャーデビューを果たしました。「ネイティブダンサー」は、メジャーデビュー後初のアルバム『シンシロ』の制作過程で生まれた楽曲です。ボーカルの山口一郎が、久石譲にインスピレーションを受け、4コードピアノの導入を中心に構築したと語っています。山口にとってこの歌はサカナクションの歌ではなく自分自身の歌であり、バンドの他のメンバーはインプット不足で単に演奏を行っているだけで、山口がサカナクションを結成する前にDJとして活動していたときのようだと感じたと述べています。

レイ・ハラカミによるリミックス

2010年には、エレクトロニックミュージシャンのレイ・ハラカミによって「ネイティブダンサー(rei harakami へっぽこre-arrange)」としてリミックスされました。このリミックスは、シングル「アルクアラウンド」のカップリングとしてリリースされ、ハラカミの遺作の一つとなりました。山口一郎は、レコード店で働いている時にハラカミのアルバム『Lust』に出会いファンになり、リミックスを依頼したそうです。

このリミックスバージョンは、原曲の美しいメロディはそのままに、ハラカミらしい浮遊感のあるサウンドが加わり、新たな魅力を引き出しています。

ミュージックビデオ

「ネイティブダンサー」のミュージックビデオは、児玉裕一が監督を務めました。印象的な映像と、振付稼業air:manによる独特なダンスが話題となり、2010年のSPACE SHOWER MUSIC VIDEO AWARDSでBEST CONCEPTUAL VIDEO賞を受賞しました。映像は、山口一郎の腰からのミドルショットと、ダンサーの脚のショットが印象的に使用されています。

ライブパフォーマンス

「ネイティブダンサー」は、サカナクションのライブコンサートで頻繁に演奏される楽曲の一つです。ライブバージョンは、CD音源とは異なるアレンジが施され、よりエネルギッシュなパフォーマンスが楽しめます。ライブ録音は、これまでに7回リリースされています。

評価と影響

「ネイティブダンサー」は、音楽メディアからも高い評価を受けています。CDJournalは、この歌を「リズミカルなダンスチューン」と呼び、そのダンス可能なリズムと「あなたへの思考から逃れられない苦痛の気持ち」を表現した歌詞の並置を賞賛しました。また、レイ・ハラカミによるリミックスについても、「安らぎを感じる浮遊感のある軽いサウンド」があり、ノスタルジックなものがあると評価しました。

「ネイティブダンサー」は、サカナクションの代表曲の一つとして、多くのリスナーに愛され続けています。その美しいメロディと歌詞、そして革新的なサウンドは、日本の音楽シーンに大きな影響を与えました。

相模鉄道都心直通線開業記念マッシュアップ

2019年には、相模鉄道都心直通線（JRとの相互直通運転）の開通を記念して、本楽曲とくるりの「ばらの花」をマッシュアップした楽曲「100 YEARS TRAIN」が制作されました。yui(FLOWER FLOWER)とミゾベリョウ(odol)が歌唱を担当し、YouTubeで公開され話題となりました。

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