ネイピア デルティック

ネイピア・デルティックエンジンについて

ネイピア・デルティックは、イギリスのネイピア・アンド・サンによって設計された、対向ピストン式の2ストロークディーゼルエンジンです。特に艦船や機関車での利用が多く、高い出力と性能を誇ります。このエンジンは、三つの直列対向ピストンを三角形に配置した独特の構造を持ち、それぞれのクランクシャフトが三角形の頂点で共用されるため、非常にコンパクトでありながら高出力を実現しています。

デザインと技術的特徴

デルティックという名称は、ギリシャ文字のデルタ形状に由来しており、対向ピストン型の高速ディーゼルエンジンとして有名です。このエンジンは、彼らが開発した試作機やイギリス国鉄の量産機に搭載されました。特に55形機関車と呼ばれる機関車は、デルティックエンジンを2基搭載し、強力な性能を発揮しました。

その設計の起源は1943年に遡ります。英国海軍が、高出力かつ軽量なディーゼルエンジンの開発を求める姿勢から始まったのです。当時の艦艇は従来のガソリンエンジンを搭載していましたが、これが火災の危険性から問題視され、ディーゼルエンジンの需要が高まったのです。

ドルティックエンジンは、排気ポートの進相と給気ポートの遅延を利用しており、ユニフロー掃気ディーゼルエンジンと呼ばれます。この構造によって、新たな気体がシリンダーに流入する際に、以前の排気ガスを効果的に掃除し、効率的な燃焼を実現しています。

歴史的な経緯

1946年、ネイピアは英語電気会社とともにデザインの実現に向けた契約を結びました。これによって、エンジンの設計は次第に具体化され、最終的には戦争後にデザインされた新しいエンジンのスタンダードとなります。

エンジンの開発は、車両や海軍艦艇への適用を目的としたあらゆる試験に裏打ちされ、特に1947年から1950年にかけて多くのエンジンが製作されました。戦後、海軍の艦艇で使用されるにあたり、その出力とコンパクトな設計が非常に重宝されたのです。特に掃海艇や高速艦艇での採用が進みました。

機関車の採用

デルティックエンジンは、1960年代に法となったイギリス国鉄の機関車においても使用され、55形と23形が代表例です。55形は非常に強力で、2基のエンジンが1,650 hpの出力を持っており、蒸気機関車からの置き換えに一役買いました。23形の「ベビー・デルティック」も愛称で親しまれ、9気筒エンジンを一基搭載することで、比較的低出力ながら効率的に運行されました。

運用と信頼性

デルティックエンジンは、その高出力で知られつつも、繊細さもあるため継続的なメンテナンスが必要です。故障した場合、ユニット全体を交換する方針がとられ、必要に応じて製造元に戻されることが多いです。これは操作と整備の効率化を図るための方法です。

今後の展望

デルティックの更なる改良型として、ターボコンパウンドの試作機が開発されましたが、純粋なガスタービンエンジンへの移行が進んだことから、これ以上の開発はされませんでした。それでも、デルティックエンジンは今日でも高い評価を受け、いくつかのモデルが保存されています。

このように、ネイピア・デルティックエンジンは、その独自のエンジン設計と性能から、歴史に名を刻んでいます。その影響は現在でも、艦船や鉄道の技術に見られることが多く、今後も注目される技術であることに間違いありません。

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