ネグロ川 (アルゼンチン)

ネグロ川：パタゴニアの大地を潤す「黒い川」

ネグロ川は、アルゼンチンのパタゴニア地方を流れる重要な河川です。ネウケン州とリオ・ネグロ州の境界付近で、リマイ川とネウケン川が合流して誕生し、リオ・ネグロ州を流れ、大西洋へと注ぎ込みます。その名はスペイン語で「黒い川」を意味しますが、水の色は実際には緑色を帯びています。

地理と流域

ネグロ川は、ネウケン付近からおおむね南南東へと流れ、リオ・ネグロ州の州都ビエドマの下流約30kmの地点で大西洋に注ぎます。流域は、上流からアルト谷、メディオ谷、インフェリオール谷の3つの地域に分けられます。

アルト谷: 幅約3kmの樹木が密集した地域を流れ、ステップ草原を横断します。主要な町として、ヘネラル・ロカ、シポジェッティ、ビジャ・レヒーナなどがあります。この地域は、ナシやリンゴの栽培が盛んで、リオ・ネグロ州内でも特に繁栄しています。
メディオ谷: チョエーレ・チョエルの隣にはチョエーレ・チョエル島があり、ラマルケ、ルイス・ベルトラン、ポモーナなどの町が点在します。リンゴやナシに加え、トマトの栽培も盛んで、ラマルケは「トマトの首都」として知られています。
インフェリオール谷: ビエドマを含むリオ・ネグロ州沿岸部の都市を指します。果物栽培も行われていますが、穀物や玉ねぎの生産が中心です。アルファルファやトウモロコシも栽培されており、地域経済を支えています。

ネグロ川は、リオ・ネグロ州に肥沃な農地をもたらし、ナシとリンゴの生産ではアルゼンチン全体の65%を占めています。また、途中に存在する小規模なダムでは水力発電も行われています。19世紀後半の「砂漠の征服」時代には、ネグロ川が「文明人」の土地と先住民の土地を分ける境界線としての役割も担っていました。

名前の由来と多様な呼び名

「黒い川」という名前ですが、実際には水の色は緑色を帯びています。この名前は、先住民であるマプチェ族が使用していた「Curú Leuvú」の直訳に由来します。また、下流には枝垂れ柳が豊かに生えていることから、「サウセス川」（柳の川）という別名でも呼ばれていました。

レガッタ・デル・リオ・ネグロ

ネグロ川では、世界でもっとも長いカヤックボートレース「レガッタ・デル・リオ・ネグロ」が開催されます。全長653kmのコースは6つのステージに分割され、8日間（うち2日間は休養日）にわたって繰り広げられます。

競技カテゴリー:

K1（男子シニア）
K2（男子シニア）
K2（男子ジュニア）：17歳-20歳
K2（女子シニア）
K1（男子36歳以上）
K2（男子36歳以上）
ツーリング（オープンカテゴリー、ノンプロ）

ネグロ川は、その豊かな水がもたらす恵みと、雄大な自然景観、そして熱いレースが繰り広げられる舞台として、アルゼンチンにとってかけがえのない存在です。

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