ネコ2世

ネカウ2世：エジプト第26王朝を彩ったファラオの興亡

ネカウ2世（紀元前610年～紀元前595年在位）は、エジプト第26王朝第2代ファラオとして知られています。サイス王朝の6代当主であり、プサムテク1世の子として誕生しました。古代ギリシャ語ではネコー（Necho）と呼ばれていますが、これは正確な発音ではありません。彼の名はネカウ（Nekau）がより正確です。

アッ[[シリア]]支援とユダ王国

ネカウ2世の治世は、地政学的激動の時代と重なりました。紀元前609年、衰退しつつあったアッ[[シリア]]を支援するため遠征軍を率いた彼は、メギドの戦いでユダ王国のヨシヤ王を討ち取りました。これにより、ユダ王国はエジプトの支配下に置かれ、エジプトはシリア・パレスティナ地方への影響力を回復しました。しかし、この勝利は長くは続きませんでした。

カルケミシュの戦いでの敗北

紀元前605年、台頭してきた新バビロニア帝国のネブカドネザル2世率いる軍勢と、カルケミシュの戦いで激突します。この戦いでネカウ2世は敗北を喫し、シリア・パレスティナ地方における覇権を奪われてしまいました。しかし、この直後に新バビロニアの創始者ナボポラッサルが死去したため、ネブカドネザル2世は軍を撤退させ、エジプト本国への侵攻は免れました。

バビロニアとの関係と国内政策

ネブカドネザル2世は、ユーフラテス川からエジプトの国境まで領土を回復させました。そのため、ネカウ2世はアジアへの軍事進出を断念せざるを得なくなります。紀元前601年にはアシュカロンでバビロニアに対する反乱が発生しましたが、エジプトは支援を拒否し、自国国境の防衛に専念しました。

敗戦後、ネカウ2世は外交と経済に重点を置いた政策へと転換しました。地中海世界における貿易を促進し、特にギリシャとの関係強化に努めました。また、大規模な土木事業にも着手し、ナイル川と紅海を結ぶ運河の建設を計画しましたが、完成には至りませんでした。さらに、ヘロドトスの『歴史』によると、彼はフェニキア人にアフリカ大陸の周航を命じたとも言われています。これは、古代世界における地理的発見の重要な試みとして注目に値します。

ネカウ2世の遺産

ネカウ2世の治世は、エジプトが地中海世界における覇権を争った激動の時代であり、その政策は成功と失敗を繰り返しました。しかし、彼の貿易政策や地理的な探求は、エジプトの歴史において重要な役割を果たしました。ナイル川と紅海を結ぶ運河建設の試みは、未完に終わりましたが、古代エジプトの技術力の高さや、国際貿易に対する関心の強さを示すものです。また、フェニキア人を用いたアフリカ周航の試みは、世界史における偉大な探検の端緒となりました。ネカウ2世は、軍事面での挫折を経験しながらも、エジプトの経済と文化の発展に貢献した、複雑で興味深い人物と言えるでしょう。彼の治世は、エジプトの歴史における重要な転換期であり、その功績と失敗は、現代に至るまで研究者の関心を集め続けています。

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