ネルソン (戦艦)

ネルソン（HMS Nelson, 28）

ネルソン（HMS Nelson）は、イギリス海軍が保有した戦艦の一つで、ネルソン級戦艦の先駆けとなる艦です。この艦はアームストロング社のニューカッスル造船所で建造され、ナポレオン戦争時の著名な提督、ホレーショ・ネルソンにちなみ名付けられました。

イギリス、アメリカ、日本の海軍は、1922年から施行されたワシントン軍縮条約により、建造する新型戦艦の制限を受けていました。この条約によって、基準排水量は35,000トンに制限されたため、イギリスは、33,500トン、40.6cm（45口径）砲を9門搭載する戦艦を設計することに決定しました。なるべく重量を抑えつつ、重装甲をもたせるという設計思想が反映されていますが、速度は当時の艦船の中では比較的低い23ノットとなっています。特に、艦の上部が特徴的で、艦橋の後方に配置された3基の3連装砲塔が視覚的に目を引きます。装甲は非常に堅固であり、16インチ砲を搭載した艦の中でも最も厚い部類とされています。

艦歴

「ネルソン」は就役後、本国艦隊の旗艦となりましたが、第二次世界大戦が開始されるまでの間、近代化の改修は行われず、特に重要な任務も果たすことがありませんでした。ただし、1931年に姉妹艦の「ロドニー」と共に反乱に参加したという記録があります。

1934年の1月には、西インド諸島に向かう途中、ポーツマス沖で座礁するトラブルもありました。第二次世界大戦が開戦すると、「ネルソン」は敵の出撃に備えて北海へ展開しましたが、10月30日にオークニー諸島近海でUボートからの雷撃を受けるも、幸運にも損傷を免れました。その後、ドイツの艦船を追尾する任務に出撃するも、嵐により捕捉することはできませんでした。12月4日には、ロッホ・ユーに帰還する際、磁気機雷に接触し損傷を受けるという事件が起きました。

1940年8月にはアシカ作戦に備えてイギリス海峡に配備され、1941年からは大西洋で船団護衛任務に従事。ビスマルク追撃戦の際には、フリータウンからジブラルタルに移動し、地中海で数多くの作戦に参加しました。特にサブスタンス作戦やハルバード作戦には積極的に関与し、重要な役割を果たしました。これらの作戦の中で、「ネルソン」はイタリア空軍の攻撃を受け、1942年9月に一度損傷を受けましたが、修理を経て再び戦列に復帰しました。

ネルソンは1943年の作戦にも参加し、アイゼンハワー将軍とイタリアの休戦調印式が艦上で行われるなど、歴史的な瞬間を目撃する艦でもありました。

1944年にはノルマンディー上陸作戦を支援するなど活躍する一方で、機雷に触れるトラブルも抱えました。1945年11月に本国艦隊の旗艦に復帰し、1946年に改装工事を受けた後、練習戦艦とされ、1947年には除籍されました。1949年には売却され解体され、長い活躍に幕を閉じました。

艦内生活

第二次世界大戦の終戦間際に「ネルソン」に乗艦した水兵たちは、艦内の生活についても語っています。水兵はハンモックで眠る生活を送っていましたが、特に海が荒れた時にはそれが快適な眠りを提供していたそうです。また、21歳以上の乗員は毎日ラム酒を配給され、それが彼らの日課となっていたとのことです。誕生日を迎えた水兵に対しては、全員からラム酒が分けられる特別な習慣があったとも言われています。

戦争が終わり、祖国に帰国する際には、準備していたオレンジやバナナといった異国の果物を手を振る群衆に向けて振る舞い、家族や友人へのお土産としていました。これらの出来事は、彼らの艦生活を象徴するものとして記憶に残っています。

主な活動

• - 大西洋船団護衛
• - 地中海輸送掩護
• - 北アフリカ
• - 南イタリア
• - ノルマンディー上陸作戦
• - マレー半島侵攻作戦

「ネルソン」の歴史は、ただの戦艦以上の物語を語っており、海軍の誇りを背負って活躍した艦の姿が浮かび上がります。

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