ネ130 (エンジン)

ネ130ターボジェットエンジン

概要

ネ130は、1944年から石川島芝浦タービンによって開発されたターボジェットエンジンです。このプロジェクトは、日本陸軍の主導のもとに行われました。開発段階で試作機が１基製作され、試運転が行われましたが、運悪く飛行試験が実施される前に終戦を迎えたため、正式な運用には至りませんでした。

開発背景

1942年の末頃から、日本陸軍は第二陸軍航空技術研究所（通称二航研）の監督の下、ジェットエンジンの開発に取り組んでいました。このプロジェクトでは、東京帝国大学航空研究所から提案された主エンジン用のネ101モータージェット及びネ201ターボプロップ、さらに川崎航空機からの技師林貞助による基礎研究用ネ0ラムジェットや補助エンジン用のネ1・ネ2モータージェット、ネ3・ネ4ターボジェットも開発が試みられていました。

しかしながら、エンジンの開発は多くの困難に直面しました。1944年の7月に、ドイツからの技術資料が入手できるとの見込みが立つと、補助エンジンの開発は中止されることとなりました。既にネ101は工事が止まり、ネ201は試作機が完成するも試運転には至らず、その他のエンジンの進捗も芳しくありませんでした。このため、陸軍は海軍と連携し、民間企業に対してターボジェットエンジンの開発を新たに発注しました。

ネ130の開発

その中で、石川島芝浦タービンが受けたのがネ130の開発です。1944年12月の基本方針決定会議で、エンジンの仕様や性能計画が定められ、急ピッチで工事が進められました。最初の試作機は1945年3月に二航研に納入され、その後地上での試運転が行われました。試運転の中では、圧縮機の破損などの問題がありましたが、8月上旬には、ほぼ当初の計画値に達するまでに至りました。

終戦の8月15日を迎えた後も運転が続けられましたが、翌16日に異物を吸入したことによりエンジンが破損し、その結果開発が終了することとなりました。

諸元

以下はネ130の主な諸元です：

• - 全長：2,750 mm
• - 直径：792 mm
• - 重量：930 kg
• - 圧縮機：

- 形式：軸流式
- 段数：7段
- 圧縮比：3.56

• - タービン：

- 段数：1段
- 回転数：9,000 rpm

• - 空気流入量：22.8 kg/s
• - 燃料消費量：900 kg/h
• - 推力：900 kg

このように、ネ130は短期間のうちに試作が行われたものの、戦争の影響によって後に続く運用には至らなかった歴史を持つ重要なエンジンです。

参考文献

• - 中田金一 (1952)、「ガスタービン(内燃機関展望)」『日本機械学会誌』第55巻第398号
• - 井口泉 (1976)、「戦時中における日本のガスタービン物語」『日本ガスタービン学会誌』第3巻第12号
• - 林貞助 (1977)、「旧陸軍試作の補助ジェットエンジンの全貌(その1)」『日本ガスタービン学会誌』第4巻第16号
• - 林貞助 (1977)、「旧陸軍試作の補助ジェットエンジンの全貌(その2)」『日本ガスタービン学会誌』第5巻第17号

関連項目

• - ネ0 (エンジン)
• - ネ20 (エンジン)
• - ネ230 (エンジン)
• - BMW 003
• - キ201 (航空機)

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