ノビシャド

ノビシャドとは

ノビシャド（noviciado）は、カトリック教会における修道会員の養成機関で、日本語では修練院とも呼ばれます。特に歴史用語として「ノビシャド」という場合、イエズス会が1580年（天正8年）に豊後国臼杵（現在の大分県臼杵市）に設立したものを指すことが多いです。この施設は、キリシタン時代の日本の宗教教育において重要な役割を果たしました。ノビシアド、ノヴィシャド、ノヴィシアド、ノビチアートとも呼ばれることがあります。

設立の背景

1579年、巡察師として日本を訪れたアレッサンドロ・ヴァリニャーノは、当時の日本地区責任者であったフランシスコ・カブラルの教育方針を改め、日本人聖職者育成のための教育施設設置を推進しました。その一環として、臼杵のノビシャドは、同じく1580年に設立された有馬（現長崎県南島原市）と安土（現滋賀県近江八幡市安土町）のセミナリヨ、1581年に府内（現大分県大分市）に設立されたコレジオと共に、重要な役割を担いました。

臼杵のノビシャド

当時、キリスト教の有力な庇護者であった大友義鎮（大友宗麟）は、1576年に家督を息子の大友義統に譲り、臼杵の丹生島城に移り住み、二元統治を行っていました。そのため、臼杵は実質的に大友氏の城下町として栄え、府内から宣教師や信者が移り住み、天主堂などが建設されました。このような状況下で、イエズス会は臼杵にノビシャドを設立しました。

教育内容

イエズス会士の育成は、数段階の訓練過程を経て行われます。ノビシャドは、その最初の段階である修練期の訓練を行う機関でした。当初、ノビシャドには日本人6名とポルトガル人6名が学んだとされており、『日本文典』や『日本教会史』を著したジョアン・ロドリゲスもその一人でした。ノビシャド修了後、優秀な者はコレジオに進学する道が開かれており、ジョアン・ロドリゲスも府内のコレジオで学んでいます。

その後の変遷

大友氏が没落し、その庇護が得られなくなると、ノビシャドは長崎に移転し、その後、有家や天草へと移動しました。この移動は、当時の政治情勢やキリスト教に対する弾圧の影響を受けたものです。

エヴォラ文書

ポルトガルのエヴォラにあるエヴォラ公立図書館には、「エヴォラ文書」と呼ばれる臼杵のノビシャドでの講義録が残されています。これは、ノビシャドでの講義録が屏風の下張りに使われ、後にポルトガルに渡ったものです。この文書は、当時の教育内容やキリスト教の伝播状況を知る上で貴重な資料となっています。

関連事項

• - セミナリヨ
• - コレジオ
• - アレッサンドロ・ヴァリニャーノ

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