ノルウェー科学技術大学

ノルウェー科学技術大学（NTNU）の概要

ノルウェー科学技術大学（Norwegian University of Science and Technology, NTNU）は、ノルウェーのトロンハイムにメインキャンパスを置く国立研究大学です。イェービクとオーレスンにも小規模なキャンパスを持ち、8,000人以上の教職員と40,000人以上の学生を抱える、ノルウェー最大の大学です。NTNUは、工学やテクノロジー分野における教育と研究において、ノルウェー国内で中心的な役割を担っています。大学のルーツは1760年に設立されたトロンハイム学会に遡り、1996年には複数の高等教育機関が合併して現在の形となりました。さらに、2016年にも大学の統合が行われ、ノルウェー最大の総合大学となりました。NTNUは、世界の大学ランキングで常に上位1%にランクインしており、その研究と教育の質の高さが国際的に認められています。

歴史

現在のNTNUは、1996年にトロンハイムの6つの研究・高等教育機関が合併して設立されました。これらの機関には、ノルウェー工科大学（NTH）、NTNU自然史・考古学博物館（VM）、総合科学大学（AVH）、NTNU医学部（DMF）、トロンハイム美術専門学校（KiT）、NTNU音楽学科が含まれています。これらの機関は、合併前にはトロンハイム大学（University of Trondheim）を構成していました。トロンハイムにおける工学教育の歴史は1870年にまで遡り、ノルウェー工科大学（NTH）は1910年に設立されました。NTNUは、2010年にトロンハイム学会の250周年とNTHの開校100周年を記念しました。

1700年代

ノルウェー初の学会であるトロンハイム学会は、1760年に設立されました。1767年には、デンマーク-ノルウェー国王によって承認され、ノルウェー王立学術院（DKNVS）に改称されました。DKNVS図書館は1768年に設立され、ノルウェー最古の図書館となりました。

1800年代

トロンハイム工科大学（TTL）は1870年に設立され、様々な分野の技術者を育成しました。1898年には、TTLはムンケガタの大型ビルに移転しました。TTLは1900年代初頭に解散し、ノルウェー工科大学設立の道を開きました。

1900年から1968年

1900年、ノルウェー議会はトロンハイムにノルウェー工科大学（NTH）を設立することを決定しました。NTHは1910年9月15日に開校し、建築・都市計画、土木工学、機械工学、電気工学、化学の5つの学科が最初に開設されました。1922年には、トロンハイム・ノルウェー教育大学（NLHT）が開校しました。1950年には、産業・技術研究センター（SINTEF）がNTHの一部として設立され、ノルウェーの産業界との連携を深めました。

1968年から1996年

トロンハイム大学（UniT）は1968年に設立され、1974年には医学部門（後の医学部）がUniTによって設立されました。1984年には、NLHTは総合科学大学（AVH）としてUniTに吸収されました。

1996年から2016年

1996年1月1日、トロンハイム大学は現在のノルウェー科学技術大学（NTNU）となりました。NTNU設立のアイデアは1989年に提起され、1995年の議会での議論を経て、NTNUがトロンハイムに設置されることが決定しました。

2016年以降

2016年1月、NTNUはソール・トロンデラーグ、オーレスン、イェービクのユニバーシティー・カレッジと合併し、ノルウェー最大の総合大学となりました。

キャンパス

NTNUは複数のキャンパスを持ち、工学・自然科学はトロンハイムのグロースハウゲン、人文・社会科学はドラッグボルで学ぶことができます。他にも、船舶技術はタイホルト、医学はオーヤ、考古学はカルブスキネット、音楽はミットビエン、美術学はネードレ・エルベハブンで学ぶことができます。グロースハウゲンキャンパスには、歴史的なNTHの校舎と現代的な建物が混在しており、734,000m²の広さを誇ります。また、SINTEFやノルウェー自然科学研究機構（NINA）など、NTNUと密接に協力する研究機関もグロースハウゲンに拠点を置いています。NTNUは、二つのメインキャンパスをグロースハウゲンに統合する可能性を検討しましたが、最終的には両キャンパスの共存が決定されました。

合併

2016年1月1日、NTNUはイェービク、オーレスン、ソール・トロンデラーグのユニバーシティー・カレッジと合併し、3つの地域にキャンパスを持つ大学となりました。この合併により、NTNUの組織構造も大きく変化しました。

組織

NTNUは、ノルウェーの大学・ユニバーシティー・カレッジ法に基づき、11人の委員会によって運営されています。2人の委員は学生から選出されます。NTNUの2017年の総予算は81.9億ノルウェークローネで、その大半は教育研究省からのものです。2016年の合併後、NTNUは39,000人の学生と2,500人の博士課程学生を抱え、9つの学部（合計65の学科）を持つ大学となりました。

研究

NTNUにおける工学研究の歴史は、ノルウェー初の電化路線であるタムスハウン線の開発にまで遡ります。現在、NTNUでは4377人の研究員が120以上の研究室で研究活動を行っており、常に2,000以上の研究プロジェクトが進行中です。NTNUは、2014年から2023年にかけて、NTNU Energy、NTNU Health、NTNU Oceans、NTNU Sustainabilityの4つの戦略的研究エリアを設定しました。また、大学は6つのNational Centres of Excellence (SFF)、12のCentres for Research-based Innovation (SFI)、3つのCentres for Environment-friendly Energy Research (FME)を運営しています。さらに、SINTEFとの協力関係も緊密です。カヴリシステム神経科学研究所は、2007年にNTNUに開設されました。また、NTNUはNTNU Biotechnology、NTNU Digital、Nano@NTNUの3つの実現技術を通じて、長期的な研究とインフラストラクチャーへの資金援助を行っています。NTNUは、EU Horizon 2020において218ものプロジェクトに参加しています。NTNUとSINTEFの協力関係は、2014年に始まったプロジェクト「Better Together」によってさらに深まっています。

出版

NTNUは、オープンアクセスジャーナルに論文を掲載するための基金を設立しました。また、2008年にはデジタル機関リポジトリを設立し、研究成果の記録と公開を促進しています。NTNUは、学術論文や書籍に加え、大学の活動や研究成果に関する情報を一般向けに発信しています。The University Newspaper（Universitetsavisa）は、1991年に設立されたノルウェー語の大学ニュースおよび討論論文です。GEMINIは、NTNUとSINTEFが出版する英語・ノルウェー語の研究報道です。さらに、大学ではNordic Journal of Science and Technologyも発行しています。

評価

2017年3月のTHE世界大学ランキングでは、NTNUは「企業とのつながりが最も強い大学」で1位を獲得しました。統計上、NTNUの研究成果の9.1%がSINTEFと共同で生み出されており、これは世界最大の産学連携となっています。また、2021年6月2日のCWTS Leiden Rankingでは世界205位、2020年7月のWebometrics Ranking of World Universitiesではヨーロッパで59位、世界で187位にランクインしています。

学習

NTNUは工学や自然科学を専門としていますが、人文科学、社会科学、経済・行政・経営学、美学、医学、心理学、建築学、美術、音楽、教育学など、幅広い分野で学位を取得することができます。NTNUには、84,797人もの志願者がおり、19,054人の生徒のうち9,062人が女性でした。毎年3,500人程度の学士号や修士号を取得しており、5,500人以上が継続教育を受けています。NTNUには、300以上の学生組織や世界60以上の大学との交流協定があり、約2,600人の外国人学生が在籍しています。2015年には、NTNU Teaching Excellenceが設立されました。

学生生活

NTNUは、世界中から新入生を歓迎しており、60以上の国際修士課程と、全て英語で実施される博士課程プログラムを提供しています。学生のスポーツ組織であるNTNUIは、多くの支部で10,000人ものメンバーが活動しています。NTNUでは、トロンハイムの新入生向けに「屋根を提供（roof over your head）」という住宅支援プログラムを提供しています。また、学生は、大学が所有する郊外のキャビンを利用することもできます。

ノーベル賞受賞者および著名人

NTNUは、以下のノーベル賞受賞者を輩出しています。
ラルス・オンサーガー（1968年、ノーベル化学賞）
アイヴァー・ジェーバー（1973年、ノーベル物理学賞）
エドバルド・モーセル（2014年、ノーベル生理学・医学賞）
マイブリット・モーセル（2014年、ノーベル生理学・医学賞）
ジョン・オキーフ（2014年、ノーベル生理学・医学賞）

NTNU Alumni

2006年には、学生、NTNUのスタッフ、前任者の集会所やプロフェッショナル・ネットワークを目的としてNTNU Alumniが設立されました。2014年現在、約30,000人のメンバーがいます。

その他

NTNUは、毎年科学や文化に大きく貢献した科学者などに名誉博士号を授与しています。

関連事項
Gemini - NTNUとSINTEFによる研究報道
Centre for Renewable Energy
Kahoot! - 2012年に大学のプロジェクトチームによって開発された教育用のクイズゲーム

外部リンク
公式サイト
NTNUについての資料
研究所の概要
グロースハウゲンキャンパスを紹介する動画

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