ノルスク・ハイドロ

ノルスク・ハイドロ：アルミニウムと再生可能エネルギーのリーディングカンパニー

ノルスク・ハイドロ（Norsk Hydro ASA）は、ノルウェーのオスロに本社を置く、アルミニウムおよび再生可能エネルギー分野におけるグローバル企業です。世界で4番目に大きな一貫アルミニウム生産企業として知られ、約40ヶ国で事業を展開、従業員数は約22,000人に上ります。2019年5月からはHilde Merete Aasheim氏がCEOを務めています。ノルウェー政府は同社の株式の43.8％を保有しています。

かつて石油・天然ガス事業にも携わっていましたが、2007年にスタトイルへ売却しました。現在は、アルミニウム生産を中心に、水力発電事業、そして創業初期からの事業である農業関連資材（肥料など）にも注力しています。中でも、アルカリ電気分解技術においては世界をリードする存在です。ノトデンは、水力技術部門の中心地として重要な役割を担っています。

歴史：肥料からアルミニウムへ

ノルスク・ハイドロの歴史は1905年にさかのぼります。マルクス・ヴァレンベリを初代会長として、主にパリバの出資を受け、ノルウェー水力電気窒素会社として設立されました。エンジニアのサミュエル・エイデが創設に貢献し、クリスチャン・ビルケランドが開発したビルケラン＝エイデ法による窒素固定技術を用いて、合成肥料の生産を開始しました。

生産に必要な膨大な電力を確保するため、ノトデン近郊のスヴェルグフォッセンの滝に発電所を建設。その後、リューカン、ティンなどにも工場を設立し、リューカンフォッセンの滝なども活用しました。初期の工場はノトデン（1907年）、リューカン、ティン（1911年）、Glomfjord（1912年）、Herøya（1930年）などに建設されました。Herøya工場は当初、肥料の出荷と石灰岩の入荷拠点でしたが、1936年から肥料生産も開始しました。また、リューカンとHerøyaを結ぶ鉄道（Rjukanbanen、1909年開通）も重要なインフラとして整備されました。

1920年代には、ハーバー・ボッシュ法との競争激化を受け、ドイツのIG・ファルベンインドゥストリーと提携。1945年には同社がノルスク・ハイドロの大株主となりました。Herøya工場の建設は、電力供給源への依存度を下げ、出荷港の近くに工場を建設できるようになったという背景があります。

重水生産と第二次世界大戦

リューカン工場は、第二次世界大戦中、ヨーロッパで唯一の重水生産拠点として、ドイツの原子爆弾開発に利用されることを懸念され、連合国軍から攻撃目標とされました。この出来事は、カーク・ダグラス主演の映画「テレマークの要塞」として映画化されています。

金属事業への進出

軽金属事業への進出は1940年にHerøyaで炭酸マグネシウム工場の建設を開始したことに始まりましたが、ナチス・ドイツの侵攻により中断されました。戦時中はIG・ファルベンインドゥストリーやノルウェー・アルミニウムと協力して、ドイツの戦争遂行のためにアルミニウムとマグネシウム工場を建設しましたが、1943年には連合軍の空襲により破壊され、建設は中止されました。戦後、1946年にはÅrdalにアルミニウム工場が設立され、1986年にノルスク・ハイドロが合併により取得しました。その後、Glomfjord（1919年より亜鉛、後にアルミニウム生産）、Herøya（1950年代よりマグネシウム生産）、Karmøy（1963年、ハーヴェイ・アルミニウムとの合弁、後に買収）などでアルミニウム生産を拡大していきました。2000年にはウェルズ・アルミニウム（米国）、フェライニヒテ・アルミニウム・ヴェルケ（ドイツ）、テクナル（フランス）など、海外企業の買収も積極的に行いました。2011年にはブラジルのヴァーレのアルミニウム関連事業を買収し、ボーキサイト採掘からアルミナ精錬、アルミニウム生産までの一貫体制を確立しました。

石油・ガス事業と事業再編

1965年には北海油田開発にも参入し、1980年代にはガソリンスタンド事業も展開しました。しかし、2004年には肥料事業をヤラ・インターナショナルとして独立させ、2007年には石油・ガス事業をスタトイルと合併（スタトイルハイドロ、現エクイノール）しました。

現在の事業

現在、ノルスク・ハイドロはアルミニウム事業を中核として、ノルウェー国内外に多くの工場を保有しています。特に、カタールに建設されたカタルム工場は、一度に建設されたアルミニウム工場としては最大規模を誇り、年間585,000トンの粗アルミニウムを生産しています。また、再生可能エネルギーである水力発電事業も、ノルウェー国内で重要な事業の一つとなっています。農業関連資材事業は、ヤラ・インターナショナルとして独立しています。

経営陣

ノルスク・ハイドロは、創業以来、多くのCEOを輩出してきました。創業者のSam Eydeから、現在CEOを務めるHilde Merete Aasheimまで、各時代のリーダーシップの下、企業は発展を遂げてきました。

日本における事業

日本には東京代表事務所と、ハイドロアルミニウムジャパン株式会社があります。

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