ノーテボリ攻囲戦

ノーテボリ攻囲戦：大北方戦争におけるロシアの勝利

ノーテボリ攻囲戦は、大北方戦争中の1702年10月7日から22日にかけて、ロシア軍がスウェーデン領イングリアのノーテボリ要塞を攻略した戦いです。この戦いは、ロシアがバルト海への道を切り開く上で重要な転換点となりました。

戦いの背景

1700年11月、スウェーデンのカール12世はナルヴァの戦いで勝利した後、ポーランドのアウグスト2世との戦いに注力しました。これにより、ロシア軍はバルト海への進出という目標を達成する機会を得ました。ロシア軍は、スウェーデン軍の不在中に軍の再編と装備の刷新を進め、フンメルスホーフの戦いとエラストファーの戦いで勝利し、バルト海沿岸地域への影響力を強めました。

ノーテボリ要塞

ボリス・シェレメンテフ元帥は、リヴォニアでの戦役を成功させた後、ロシア軍をラドガ湖とネヴァ川周辺に進軍させました。この地域はバルト海に近く、港の建設に適していました。しかし、ノーテボリとケクスホルムの要塞、そしてラドガ湖の小規模な艦隊がロシア軍の進撃を阻んでいました。ノーテボリ要塞は、ネヴァ川の中州に位置し、ネヴァ川とラドガ湖の両方を支配する要衝でした。当時、この要塞は「オレスカ」と呼ばれていました。

要塞の守備隊はグスタフ・ヴィルヘルム中佐が指揮し、兵力は400名でした。

攻囲戦の展開

9月末、シェレメンテフ元帥率いる14,000名のロシア軍が要塞を包囲しました。ピョートル1世自身も作戦に参加しました。守備隊はアブラハム・クロンヒョルト大将に援軍を要請しましたが、援軍はロシア軍に撃退され、わずか50名が要塞にたどり着きました。

シェレメンテフ元帥はシュリッペンバッハ司令官に降伏を要求しましたが、拒否されました。数日間の砲撃の後、要塞の壁には3つの突破口が開きました。10月12日、ロシア軍は最初の攻撃を試みましたが、守備隊の激しい抵抗により撃退されました。その後もロシア軍は攻撃を繰り返しましたが、いずれも失敗に終わりました。

4回目の攻撃を前に、守備隊は降伏を検討しました。しかし、レヨン少佐は要塞を爆破し、ロシア軍の侵攻を阻止することを提案しました。しかし、軍議はこれを却下し、司令官は降伏の手続きを開始しました。ピョートル1世はスウェーデン軍の即時撤退を承認し、残った兵士たちは装備を携えてスウェーデン領へ撤退しました。

戦いの影響

シュリッペンバッハは、要塞を爆破せずに降伏したとして、後に逮捕されました。ロシア軍は要塞で大量の弾薬、マスケット銃、重砲を鹵獲しました。しかし、より重要なのはその立地でした。ノーテボリ要塞はネヴァ川、ラドガ湖、フィンランド湾への入り口を支配しており、ピョートル1世は要塞の名を「シュリッセリブルク（鍵の城）」と改めました。この勝利により、ロシアはバルト海への足がかりを確立し、その後のサンクトペテルブルク建設へと繋がっていきます。

ピョートル1世は、攻囲戦に参加した兵士たちに褒賞を与え、モスクワで凱旋式を行いました。アレクサンドル・メーンシコフが要塞の司令官に任命されました。

ノーテボリ攻囲戦は、大北方戦争におけるロシアの勢力拡大を示す重要な戦いであり、バルト海地域における勢力図を大きく塗り替えることになりました。

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