ノーマン・スコット (駆逐艦)

USSノーマン・スコット (DD-690) の艦歴

「ノーマン・スコット」は、アメリカ海軍のフレッチャー級駆逐艦の一隻として、その名を歴史に刻みました。この艦名は、1942年11月の第三次ソロモン海戦で戦死し、後に名誉勲章を授与されたノーマン・スコット少将に敬意を表して名付けられました。

起工から就役、太平洋への展開

1943年4月26日、メイン州バスのバス鉄工所にて起工された「ノーマン・スコット」は、同年8月28日にスコット少将夫人によって進水しました。その後、セイモア・D・オーエンス中佐を艦長として、1943年11月5日に就役しました。

就役後、「ノーマン・スコット」は、重巡洋艦「キャンベラ」を護衛し、1944年1月14日にボストンを出港、2月1日に真珠湾に到着しました。その後、護衛空母「ガンビア・ベイ」の護衛任務に就き、クェゼリンの戦い後にアメリカ艦隊の前進基地となったマジュロとの間を往復しました。

マリアナ・パラオ諸島の戦いとテニアンでの損傷

1944年6月、「ノーマン・スコット」はマリアナ・パラオ諸島の戦いに備え、真珠湾に戻りました。6月15日からのサイパンの戦いでは、戦艦を中心とした火力支援部隊の護衛を担当し、自身も火力支援を行いました。

続くテニアンの戦いでは、大きな損害を被ることになります。7月24日、テニアン上陸作戦当日、戦艦「コロラド」などと共に火力支援中、日本軍の激しい反撃を受け、6発の被弾を受けました。うち3発が艦橋部、残りが前部煙突、魚雷発射管、5番5インチ砲にそれぞれ命中し、オーエンス艦長を含む22名が戦死、67名が負傷するという大惨事となりました。「ノーマン・スコット」はサイパン島で応急修理を受けた後、真珠湾、メア・アイランド海軍造船所へと後送され、本格的な修理を受け、10月21日に完了しました。

戦争終結までの任務

修理完了後、「ノーマン・スコット」は新たな乗組員を迎え、ハワイ水域での訓練を実施。その後、マヌス島を経由し、輸送船を護衛して1945年2月9日にフィリピン海域に到着しました。任務完了後は、マーク・ミッチャー中将率いる第58任務部隊に加わり、硫黄島の戦い、そして沖縄戦の支援に従事しました。

戦争末期には、ジョン・S・マケイン・シニア中将率いる第38任務部隊に編入され、アーサー・W・ラドフォード少将の第38.4任務群に所属しました。1945年7月15日には、室蘭への艦砲射撃を行うオスカー・C・バジャー2世少将の第34.8.2任務隊に選抜され、戦艦「アイオワ」「ミズーリ」「ウィスコンシン」の護衛任務にあたりました。

終戦と退役

戦争終結後、「ノーマン・スコット」は横須賀鎮守府地区の占領支援を行い、その後沖縄へ移動しました。西海岸へ回航後、ワシントン州タコマで海軍記念日を迎え、サンフランシスコへと移動しました。1946年4月30日にサンディエゴで退役し、1947年からメア・アイランドに係留されました。その後、現役復帰することなく、1973年4月15日に除籍され、同年12月3日にスクラップとして売却されました。

参考文献

石井勉（編著）『アメリカ海軍機動部隊 英和対訳対日戦闘報告/1945』成山堂書店、1988年。
『世界の艦船増刊第43集　アメリカ駆逐艦史』、海人社、1995年。
M.J.ホイットレー『第二次大戦駆逐艦総覧』岩重多四郎（訳）、大日本絵画、2000年。

関連項目

室蘭艦砲射撃

外部リンク

history.navy.mil: USS Norman Scott
navsource.org: USS Norman Scott
* hazegray.org: USS Norman Scott

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