ハイパーオリンピック'84

ハイパーオリンピック'84：進化したスポーツゲーム体験

1984年7月、コナミ工業（現コナミデジタルエンタテインメント）からアーケードゲーム『ハイパーオリンピック'84』が登場しました。北米では『Hyper Sports』のタイトルでリリースされました。これは、1983年に発売された『ハイパーオリンピック』の続編であり、同年開催のロサンゼルスオリンピックを記念して制作された作品です。

前作が陸上競技に焦点を当てていたのに対し、『ハイパーオリンピック'84』では、陸上競技に加え、水泳、クレー射撃、跳馬、アーチェリー、三段跳、重量挙げ、棒高跳の計7種目が収録され、より多様なスポーツ体験を提供しています。開発にはコナミ開発1課が携わり、石原祥吉氏をプロデューサー、福武茂氏を音楽担当、そして後に『グラディウス』を手掛ける町口浩康氏がプログラマーとして参加しました。

ゲームの操作性も前作から進化しています。タイミング重視の競技が増加し、ボタン連打による操作も改良されています。難易度も前作の4周目から6周目まで上昇し、6周目は高いクリア難易度を誇ります。7周目以降は6周目を繰り返すシステムです。アーケードアーカイブス版では、ランキング画面の音楽が削除されている点が異なります。

各競技の詳細

プレイ順に競技内容を説明します。

1. 水泳 (100m自由形): 2つのRUNボタンで泳ぎ、ACTボタンで息継ぎを行います。ファウルは1回まで許容されますが、計測は1回のみです。
2. クレー射撃: 左右の標的に対応したRUNボタンを素早く押します。3回の計測チャンスがあります。
3. 跳馬: 助走は自動で行われ、プレイヤーはACTボタンで跳躍のタイミングを調整し、RUNボタンで回転数を稼ぎます。計測は3回です。
4. アーチェリー: ACTボタンで矢の発射角度を調整し、発射します。計測は3回です。
5. 三段跳: RUNボタンで助走し、ACTボタンで踏み切りのタイミングと角度を調整します。最初の踏み切りが白線を越えるとファウルとなります。計測は3回です。
6. 重量挙げ: RUNボタンで持ち上げるパワーを調整し、ACTボタンでパワーを移動させます。計測は2回です。
7. 棒高跳: 助走は自動で、ACTボタンで跳躍のタイミングと体勢変更を行います。3回失敗すると失格となります。

移植版

『ハイパーオリンピック'84』は、アーケード版以外にも様々なプラットフォームに移植されました。

MSX版: 『ハイパースポーツ』のタイトルで3部作としてリリース。オリジナル種目も追加されています。
SG-1000版: MSX版『ハイパースポーツ1』の移植版。
X1、PC-8001mkIISR版: デービーソフトから発売。アーケード版全種目をプレイするには、2つのフロッピーディスクが必要でした。
ファミリーコンピュータ版: 『ハイパースポーツ』のタイトルで移植。アーケード版の種目の一部と、FC版『ハイパーオリンピック』で未収録だった走高跳が収録されています。

評価

アーケード版は、同時期に他社からも類似のゲームが発売されていたことや、操作の複雑化が要因となり、前作ほどの成功は収めませんでした。しかし、多様な種目と進化したゲーム性により、多くのプレイヤーを魅了した作品であることは間違いありません。近年では、アーケードアーカイブスとして配信され、現代でもプレイ可能です。

参考文献

* 『甦る 20世紀アーケードゲーム大全 Vol.1 アイデア満載! ユニークゲーム編』メディアパル、2019年9月30日

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