ハイフライヤー級防護巡洋艦

ハイフライヤー級防護巡洋艦：イギリス海軍の小型護衛艦

ハイフライヤー級防護巡洋艦は、19世紀末から20世紀初頭にかけてイギリス海軍に所属した、比較的小型の防護巡洋艦です。イギリス海軍では二等防護巡洋艦に分類され、主に海外植民地の防衛と、母国の広大な通商路の保護を任務としていました。同級艦は、衝角攻撃に特化した前級とは異なり、その前々級であるエクリプス級を改良した設計となっています。

設計と建造

本級は、1896年度と1900年度の海軍計画に基づき建造されました。1896年度計画では3隻（ハイフライヤー、ハイアシンス、ハーミーズ）、1900年度計画では艦形をやや大型化した改良型2隻（チャレンジャー、エンカウンター）が建造され、計5隻が就役しました。これらの艦艇は、イギリスの造船所、フェアフィールド、グラスゴー、チャタム、デヴォンポートなどで建造されました。

艦型

ハイフライヤー級は、長船首楼型船体を持ち、艦首には衝角を備えていました。艦首甲板には15.2cm速射砲を1基搭載し、司令塔と前部マストは船橋の両脇に配置されました。3本の煙突は船体中央部に等間隔に並び、周囲には煙管型の通風筒が林立し、その外側には艦載艇置き場がありました。ボート・ダビッドは片舷3組ずつ、計6組装備されていました。

舷側部には張り出し（スポンソン）があり、片舷に15.2cm速射砲を4基ずつ配置。後部マストと後部艦橋の後部甲板には、15.2cm速射砲を2基並列配置することで、艦首方向に最大3門、舷側方向に最大6門、艦尾方向に最大2門の15.2cm砲を指向可能でした。

特筆すべきは「ハーミーズ」です。1913年、この艦は水上機母艦へと改装されました。前後に滑走甲板が新設され、水上機は台車を使って発艦し、回収は水面からクレーンで行われました。この「ハーミーズ」の運用実績は、後の水上機母艦「アークロイヤル」の建造に大きく貢献しました。

武装

ハイフライヤー級の主武装は、1901年型Mark VII 15.2cm（45口径）砲でした。この砲は45.4kgの砲弾を最大仰角20度で13,350mまで射程でき、射程2,740mにおいて舷側装甲51mmを貫通する能力を有していました。砲身の俯仰、砲塔の旋回、砲弾の揚弾、装填は主に人力で行われました。発射速度は1分間に5～7発と高速でした。

対水雷艇迎撃用としてアームストロング7.6cm（40口径）単装速射砲を11基、近接戦闘用としてオチキス4.7cm（43口径）機砲を6基搭載。対艦攻撃用として45.7cm水中魚雷発射管を2基装備していました。

同型艦

下記5隻がハイフライヤー級に属します。

前期型:

ハイフライヤー (Highflyer): 1897年起工、1899年竣工、1921年除籍
ハイアシンス (Hyacinth): 1897年起工、1900年竣工、1923年除籍
ハーミーズ (Hermes): 1897年起工、1899年竣工、1914年撃沈

後期型:

チャレンジャー (Challenger): 1900年起工、1904年竣工、1920年除籍
* エンカウンター (Encounter): 1901年起工、1905年竣工、1923年除籍

結語

ハイフライヤー級防護巡洋艦は、イギリス海軍の海外作戦において重要な役割を果たしました。その設計と運用は、後の水上機母艦の開発にも影響を与え、イギリス海軍史に足跡を残す艦艇と言えるでしょう。 これらの艦艇の建造、運用、そして最終的な退役は、大英帝国の盛衰と世界情勢の変化を反映しています。 詳細な情報は、参考文献や外部リンクを参照ください。

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