ハンショウヅル

ハンショウヅル（半鐘蔓）

ハンショウヅルは、キンポウゲ科センニンソウ属に分類されるつる性の落葉低木です。学名は Clematis japonica Thunb. といいます。和名の由来は、その独特な花の形が、まるで半鐘のように見えることにあります。つる性の植物で、他の木などに絡みつきながら成長します。

特徴

ハンショウヅルの葉は、長さが4～9cm程度の卵形をした3枚の小葉からなる複葉で、茎に対になって生えます。花は、長さ6～12cmほどの花柄の先に、紅紫色の鐘形の花を一つ下向きに咲かせます。この花が、名前の由来となった半鐘に似ているのです。花期は5月から6月にかけてで、この時期になると、山林の中で美しい花を見ることができます。果実は、長さ約6cmの長卵形をしており、先端には3～4cmの花柱が残っています。

分布

ハンショウヅルは、日本の本州と九州に分布しており、主に温帯の森林の縁や林内に生育しています。これらの地域では、比較的よく見られる植物の一つですが、近年では、生育環境の変化などにより、その数を減らしている地域もあります。

保全状況

ハンショウヅルは、その美しい姿とは裏腹に、いくつかの都道府県で絶滅危惧種に指定されています。以下に、各都道府県におけるレッドリストの指定状況を示します。

絶滅危惧I類（CRまたはEN）: 鹿児島県
重要希少野生生物（Bランク）: 青森県
準絶滅危惧（NT）: 石川県
希少種: 奈良県

これらの指定は、ハンショウヅルの生育状況が危機的な状態にあることを示しています。生育地の保全や、適切な保護活動が求められます。

関連情報

参考文献
平野隆久写真『野に咲く花』林弥栄監修、山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、1989年、335頁。ISBN 4-635-07001-8
佐竹義輔・北村四郎・冨成忠夫・大井次三郎・亘理俊次（編集） 編『日本の野生植物 草本II離弁花類』平凡社、1982年3月17日。ISBN 458253502X
林弥栄『日本の野草』山と溪谷社〈山溪カラー名鑑〉、2009年10月。ISBN 9784635090421

関連項目
つる植物
クレマチス

外部リンク
ハンショウヅルの標本（鳥取県日野郡で1989年6月）に採集 島根大学生物資源学部デジタル標本館
Clematis japonica - National Center for Biotechnology Information（NCBI） （英語）
* Clematis japonica - Encyclopedia of Life（英語）


ハンショウヅルは、その美しい花姿と、自然環境における貴重な存在として、今後も大切に保護していく必要があります。もし山林で見かけた際には、そっと見守ってあげてください。

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