ハンドレページ ダートヘラルド

ハンドレページ ダートヘラルド (Handley Page Dart Herald)

概要

ハンドレページ ダートヘラルドは、1950年代後半にイギリスのハンドレページ社が開発した双発ターボプロップ旅客機です。この機体は第二次世界大戦後に広く運用されていたDC-3などのレシプロエンジン機の後継として計画されましたが、航空技術の進展に対応するために設計が見直され、ターボプロップエンジンを搭載することとなりました。

開発の背景

1950年代の初め、多くの航空機メーカーが短距離旅客機の開発に取り組んでいました。特に、DC-3の後継機を求める声が多くあり、ハンドレページもその流れに乗る形で新型機の開発を進めました。1955年8月にはアルビス・レオニデス・メイジャーレシプロエンジンを搭載したプロトタイプ“H.P.R.3 Herald”が初めて飛行しましたが、時代遅れのデザインと見なされ、受注は期待ほどには伸びませんでした。

方向転換とターボプロップ機への変更

初飛行後、受注のキャンセルが相次ぎ、ハンドレページはレシプロエンジンの開発を中止し、ロールス・ロイス・ダートを搭載したターボプロップ機に設計を変更しました。この新型機は胴体を拡大し、1958年に再び初飛行を果たしました。そして、新たなモデル名H.P.R.7 Dart Heraldを与えられ、1959年から生産が始まりました。

商業的な成果とその後

ハンドレページ ダートヘラルドの市場では、アブロ748やフォッカーF27、さらには日本のYS-11など、同カテゴリーの競合機が多く存在しました。そのため、比較的高価なダートヘラルドは商業的には厳しい状況に直面しました。多くの派生型が登場しましたが、最終的には1968年に最後の1機がイスラエルの航空会社に引き渡され、ハンドレページ社は翌年に倒産しました。しかし、ダートヘラルド自体の評価は非常に高く、2000年まで運用され続けました。

派生型の特徴

ダートヘラルドにはいくつかの派生型が存在し、それぞれ異なる設計や用途がありました。以下に代表的な派生型を示します。

• - ヘラルド: 原型のレシプロ4発機。定員44名。
• - 100型: 最初の生産型で、定員47名。
• - 200型: 機体を1.09m延長し、定員56名の観音開き貨物ドア付き。
• - 300型: 米国の規格に合わせて設計されたが、計画のみ。
• - 400型: マレーシア空軍向けの軍用輸送機タイプ。定員50名。
• - 600型: より高出力のダート532エンジンを搭載し、定員64-68名。
• - 700型: 長距離型で60名定員。しかし、航空会社の経営不振により計画が中止されました。

主要性能（200型）

• - 乗員: 2名
• - 乗客: 56名
• - 全幅: 28.90 m
• - 全長: 23.10 m
• - 全高: 7.30 m
• - 翼面積: 82.30 m²
• - 機体重量: 11,684 kg
• - 最大離陸重量: 19,504 kg
• - 最大速度: 495 km/h
• - 巡航速度: 445 km/h
• - 航続距離: 1750 km
• - エンジン: ロールス・ロイス・ダート Mk.527 (2,105 馬力)

ハンドレページ ダートヘラルドは、航空機史における短距離旅客機の重要なマイルストーンであり、その革新的な設計と技術は今なお多くの人々に記憶されています。

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