ハン・トゥア (フリゲート)

ハン・トゥア（KD Hang Tuah）

ハン・トゥアは、マレーシア海軍のフリゲートであり、現在は博物館船として保存されています。その複雑な経歴は、建造当初のガーナ海軍からイギリス海軍を経てマレーシア海軍へと渡り歩いた、波乱に満ちたものでした。

設計

ハン・トゥアの基本設計は、イギリス海軍の41型（レパード級）および61型（ソールズベリー級）フリゲートをベースにしています。エンジンも同様に、8基の16気筒ディーゼルエンジンを搭載しています。しかし、艦形は船首楼のない平甲板型で、煙突も2本のマスト内部に設けられたマック構造ではなく、1本のマストの後方に独立して配置されています。

兵装は、艦前部に2連装のヴィッカース4インチ砲、上部構造物に4基の単装ボフォース40mm機関砲、後部甲板のヘリコプター甲板後方にリンボー対潜迫撃砲が装備されていました。同時期のイギリス海軍のフリゲートと比較すると軽武装ですが、これは当初のガーナ海軍向けの設計によるものです。

レーダーは、マスト頂部にプレッシーAWS-1対空捜索レーダー、マスト前面部に航海用レーダーを搭載。ソナーは170型と176型を装備していました。

艦歴

ガーナ海軍

ハン・トゥアは、当初ガーナ海軍のフリゲート「ブラックスター（GNS Black Star）」として建造されました。ブラックスターは、ガーナ海軍の旗艦としての役割のほか、クワメ・エンクルマ大統領のヨットとしても使用される予定でした。

しかし、1966年2月24日に軍事クーデターが発生。当時ハノイに外遊中だったエンクルマ大統領は失脚し、亡命。新政権はブラックスターの発注をキャンセルしました。

発注キャンセル後も建造は継続され、1966年12月29日に進水、1968年に竣工しました。

イギリス海軍

1973年5月16日、本艦は「マーメイド（HMS Mermaid, F76）」としてイギリス海軍に就役しました。

イギリス海軍では、主に極東地域に配備され、香港の警備任務などに就きました。また、漁業保護戦隊に編入され、タラ戦争においてアイスランド沿岸警備隊巡視船によるネットカッターや体当たりからイギリスのトロール船を護衛する任務にも従事しました。

1975年のサイゴン陥落の際には、イギリス国民の救出任務にも出動しています。

1976年9月20日には、北海のオランダ沖でトン型掃海艇「フィトルトン（HMS Fittleton (M1136)）」と衝突事故を起こし、フィトルトンは沈没、乗組員12名が死亡するという痛ましい事故が発生しました。

マレーシア海軍

1977年5月、本艦はマレーシア海軍に譲渡され、「ハン・トゥア（KD Hang Tuah）」と改名されました。

1991年から1992年にかけて練習艦として改修され、1995年から1996年にかけて主砲と主機関が換装され、ソナーとリンボー対潜迫撃砲が撤去されました。

第21フリゲート戦隊に配備されていましたが、マレーシア海軍の合理化に伴い、第一線を退くことになりました。

2018年11月21日、ペラ州ルムットのルムット海軍基地で式典が行われ、ハン・トゥアは博物館船として保存されることになりました。博物館船に転換された後も、ハン・トゥアは現役艦としての地位を保持しています。

諸元表

艦種: フリゲート
排水量: 不明
全長: 不明
全幅: 不明
吃水: 不明
機関: ディーゼルエンジン8基
速力: 不明
乗員: 不明
兵装:
2連装4インチ砲
単装ボフォース40mm機関砲4基
リンボー対潜迫撃砲1基（後に撤去）
レーダー:
プレッシーAWS-1対空捜索レーダー
航海用レーダー
ソナー: 170型、176型（後に撤去）

参考文献・サイト

マレーシア海軍公式サイト

関連項目

マレーシア海軍艦艇一覧

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