ハーディ (駆逐艦・3代)

ハーディ (HMS Hardy, H87): 短くも激しかった駆逐艦の一生

1936年、イギリス海軍は新たな駆逐艦を建造しました。その名は「ハーディ」。H級駆逐艦の1隻であり、嚮導艦としての役割を担った本艦は、海軍中将トマス・ハーディの名を冠していました。

建造から大戦勃発まで

「ハーディ」は1935年5月30日に起工、翌1936年4月7日には進水、そして同年12月11日に竣工を迎えました。まだ平和な時代、近代的な技術を結集した駆逐艦として、イギリス海軍に貢献する日を夢見ていたことでしょう。しかし、その運命は、1939年9月の第二次世界大戦勃発によって大きく変わることになります。

大西洋での哨戒

開戦時、「ハーディ」は地中海にあるマルタに配備されていました。その後、10月には西アフリカのフリータウンへと移動、K部隊に所属し、南大西洋でドイツの通商破壊艦の捜索任務に就きました。この任務は、大西洋におけるドイツの脅威に対抗するために非常に重要でした。広大な海域をくまなく捜索する、困難な任務であったはずです。

ラプラタ沖海戦への備え

12月17日、「ハーディ」は「ホスタイル」、「ヘレワード」、「ヘイスティ」といった他の駆逐艦と共に、巡洋戦艦「レナウン」や空母「アーク・ロイヤル」、軽巡洋艦「ネプチューン」といった強力な戦力と合流しました。リオデジャネイロで給油を行った後、彼らはラプラタ川河口へと進みました。その目的は、ラプラタ沖海戦で損傷しモンテビデオに入港していたドイツ装甲艦「アドミラル・グラーフ・シュペー」の脱出阻止でした。緊張感に包まれた、重要な任務であったに違いありません。

ヨーロッパへの帰還とノルウェー作戦

1940年1月25日から2月12日まで、「ハーディ」はデボンポートで整備を受けました。その後、スコットランドのグリーノックへ移動し、船団護衛の任務に就きます。3月9日には、スカパ・フローで本国艦隊の第2駆逐艦戦隊に編入され、さらにその旗艦となりました。

4月6日、第2駆逐艦戦隊はノルウェーのヴェストフィヨルドへの機雷敷設に向かう第20駆逐艦戦隊を護衛しました。これは、ドイツへの鉄鉱石輸送を妨害する「ウィルフレッド作戦」の一環です。ドイツによるノルウェー侵攻が始まる直前の4月8日朝、機雷敷設は完了し、「ハーディ」は「レナウン」およびその護衛部隊と合流しました。

ナルヴィク海戦と最期

そして1940年4月10日、ノルウェーのオフォトフィヨルドで運命の瞬間が訪れました。第1次ナルヴィク海戦において、「ハーディ」はドイツ駆逐艦と激戦を繰り広げ、その短い生涯に幕を閉じました。多くの乗組員と共に、海に眠ることとなったのです。

参考文献

English, John (1993). Amazon to Ivanhoe: British Standard Destroyers of the 1930s. Kendal, England: World Ship Society. ISBN 0-905617-64-9
Haarr, Geirr H. (2009). The German Invasion of Norway, April 1940. Annapolis, Maryland: Naval Institute Press. ISBN 978-1-59114-310-9
Rohwer, Jurgen (2005). Chronology of the War at Sea 1939-1945: The Naval History of World War Two (Third Revised ed.). Annapolis, Maryland: Naval Institute Press. ISBN 1-59114-119-2

関連項目

第二次世界大戦中のイギリス海軍の喪失艦一覧

もう一度検索