バラク (ミサイル)

バラク艦対空ミサイルシステム：イスラエルとインドの共同開発による高度な防衛システム

イスラエル・エアロスペース・インダストリーズ（IAI）とラファエル・アドバンスド・ディフェンス・システムズが共同開発したバラク艦対空ミサイルは、イスラエル海軍を中心に世界各国で広く採用されている高度な防衛システムです。本システムは、個艦防空に特化したバラク-Iと、その技術を基に開発された艦隊防空ミサイルであるバラク-8の2種類で構成されています。

バラク-I：高速戦闘艇のための頼もしい盾

バラク-Iは、イスラエル海軍の高速戦闘艇に個艦防空能力を提供するために開発されました。初期段階では、8連装の箱型発射機が採用されていましたが、運用上の課題から、8セルの垂直発射システム（VLS）へと改良されました。ミサイルは発射直後にブースターを用いて上昇し、推力偏向と空力フィンによる精密な姿勢制御を実現しています。

バラク-Iシステムは、軽量かつ自動化された設計が特徴です。目標の探知から脅威評価、ミサイルの発射と誘導までを自動で行うことで、迅速かつ効率的な防衛体制を構築します。システム構成要素としては、ミサイル本体、8セルのVLS、そしてEL/M-2221 STGR捜索・追跡/誘導用レーダーが挙げられます。このレーダーはXバンドとKaバンドの2つの周波数を使用するパルス・ドップラー・レーダーで、テレビおよび赤外線追跡装置を備え、高い探知精度を誇ります。さらに、EL/M-2238 STAR低空警戒/対水上レーダーとの連携運用も可能です。

バラク-Iは、イスラエル海軍の艦艇に加え、インド、シンガポール、チリ海軍など、世界各国の海軍艦艇に搭載され、その信頼性と高い性能を実証しています。搭載艦艇は、イスラエル海軍のサール4.5型ミサイル艇、サール5型コルベット、インド海軍の空母ヴィラート、デリー級駆逐艦、ラージプート級駆逐艦、シヴァリク級フリゲート、ゴーダーヴァリ級フリゲート、ブラマプトラ級フリゲート、カモルタ級コルベットなど多岐にわたります。

バラク-8：更なる進化を遂げた艦隊防空ミサイル

バラク-8は、イスラエルとインドが共同開発したバラク-Iの後継ミサイルで、射程や性能の大幅な向上を実現しています。70キロメートル以上の射程を誇り、RIM-162 ESSMやスタンダードSM-2MRに匹敵する性能を持つとされています。改良された誘導装置とEL/M-2248 MF-STAR多機能レーダーとの統合により、より広範囲かつ精密な防空能力を提供します。イスラエル海軍では、Mk.41 VLSへの対応も実現しています。

バラク-8は、イスラエル海軍のサール5型、サール6型コルベット、インド海軍のカモルタ級コルベット、コルカタ級駆逐艦、ニルギリ級フリゲート、ヴィシャーカパトナム級駆逐艦、空母ヴィクラマーディティヤ、ヴィクラントなど、多くの艦艇に搭載され、現代の海軍防衛システムにおいて重要な役割を担っています。

まとめ

バラク-Iとバラク-8は、その高い性能と信頼性から、世界各国の海軍で広く採用されている艦対空ミサイルシステムです。個艦防空から艦隊防空まで、幅広いニーズに対応できる汎用性の高さも大きな特徴です。今後も、更なる改良や発展が期待されるシステムです。

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