バラモンジン属

バラモンジン属について

バラモンジン属（学名: Tragopogon）は、被子植物のキク目に属する植物のグループです。この属には、140以上の種が存在し、一般的には英語でサルシファイやゴーツベアードと呼ばれることが多いです。

特徴

バラモンジン属の植物は、一般的に多年草または二年草として成長します。これらの植物は、直根性の根を持ち、乳液を分泌するのが大きな特徴です。花の色は種によって異なり、黄色や紫色、青銅色など様々です。元々はヨーロッパやアジアに広がっていますが、近年では北アメリカやオーストラリアなどにも適応し、分布が広がっています。

特に、ヨーロッパでは「サルシファイ」という名で知られる野菜、パープルサルシファイ（Tragopogon porrifolius）は、牡蠣に似た味が特徴とされていますが、実際の味わいは特徴のない甘みが支配的です。加えて、パープルサルシファイの新芽は若葉として食用にも適しており、食文化の中で利用されています。

もう一つの関連種であるキバナバラモンジン（Scorzonera hispanica）はブラックサルシファイやスパニッシュサルシファイとも呼ばれ、根菜として広く利用されますが、これにはバラモンジン属ではなくフタナミソウ属に属する特徴があります。

交雑と分化

バラモンジン属は、交雑種分化の興味深い例としても知られています。1900年代初頭、この属のフトエバラモンギク（T. dubius）、キバナムギナデシコ（T. pratensis）、バラモンジン（T. porrifolius）の3種が北アメリカに移入され、その後自然界で交雑が起きました。1950年代にはアイダホ州やワシントン州で新たな種としてT. miscellusとT. mirusが発見されました。前者はフトエバラモンギクとキバナムギナデシコの交雑によって形成された四倍体であり、後者は異質倍数体として知られる新種です。

和名の由来

バラモンジンという名前の成り立ちは興味深いものです。「バラモン」はインドの司祭を指し、サンスクリット語のブラーフマナ（ब्राह्मण）から派生しています。そして、「ジン」は漢語の「參」から来ており、薬用に利用されるオタネニンジン（朝鮮人参）が連想されています。

参考文献

• - 飯沼慾斎著『新訂草木図説』（1875年）
• - Soltis, D. E. et al. (2004). Recent and recurrent polyploidy in Tragopogon (Asteraceae): cytogenetic, genomic and genetic comparisons. Biological Journal of the Linnean Society, 82, 485-501.

外部リンク

• - 嶋田英誠「跡見群芳譜巻六外来植物譜きばなばらもんじん（黄花婆羅門参）」
• - USDA Plants database Tragopogon L.
• - “Name - Tragopogon L. subordinate taxa”. Tropicos. Missouri Botanical Garden, 2010年2月10日閲覧。
• - National Plant Data Center. “PLANTS Profile for Tragopogon (goatsbeard)”. USDA, NRCS. 2010年2月10日閲覧。
• - “Query Results for Genus Tragopogon”. International Plant Names Index. 2010年2月10日閲覧。

もう一度検索