バングラデシュ・コンサート

『バングラデシュ・コンサート』：音楽の力で難民を救った歴史的ライブ

『バングラデシュ・コンサート』（原題: The Concert for Bangla Desh）は、1971年8月1日にジョージ・ハリスンとラヴィ・シャンカルが共同で開催した、ロック史上初の画期的な大規模チャリティコンサートを収録した3枚組のライブアルバムです。このコンサートは、バングラデシュ（当時は東パキスタン）の難民救済を目的として行われ、音楽の力が社会変革に貢献できることを示した象徴的な出来事となりました。

コンサート開催の背景

1970年11月、ベンガル地方を襲ったボーラ・サイクロンと、1971年3月に勃発したバングラデシュ独立戦争は、多くの人々が家を失い、難民となる悲惨な状況を生み出しました。ジョージ・ハリスンは、シタールの師であるラヴィ・シャンカルからこの状況を知らされ、心を痛めました。ハリスンとシャンカルは、この悲劇的な状況を救うため、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで、1日に2回（午後2時半と午後8時）にわたって『バングラデシュ難民救済コンサート』を開催することを決定しました。

アルバムの成功

このコンサートの模様を収録したアルバムは、アメリカでは1971年12月20日、日本では翌1972年2月21日にリリースされました。アルバムはアメリカの『ビルボード』誌アルバムチャートで最高2位を記録し、1972年度年間ランキングでも16位にランクイン。また、『キャッシュボックス』誌でも8週連続で2位を獲得し、1972年度年間ランキングで7位となりました。さらに、第15回グラミー賞（1972年度）では、年間最優秀アルバム賞を受賞するなど、音楽的な成功だけでなく、社会的な影響力も示しました。

収録曲と豪華な参加アーティスト

アルバムには、ジョージ・ハリスン、ボブ・ディラン、ラヴィ・シャンカルなど、当時の音楽界を代表する豪華アーティストが参加しました。各アーティストの代表曲や、このコンサートのために特別に演奏された曲が収録され、聴きごたえのある内容となっています。

主な収録曲は以下の通りです。
「イントロダクション」 - ジョージ・ハリスンとラヴィ・シャンカルによる導入部
「バングラ・デューン」 - ラヴィ・シャンカル作曲のシタール演奏
「ワー・ワー」
「マイ・スウィート・ロード」
「アウェイティング・オン・ユー・オール」
「神の掟」 - ビリー・プレストンの楽曲
「明日への願い」 - リンゴ・スターの楽曲
「ビウェア・オブ・ダークネス」
「バンド・イントロダクション」
「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」
「ジャンピン・ジャック・フラッシュ〜ヤングブラッド」メドレー
「ヒア・カムズ・ザ・サン」
「はげしい雨が降る」 - ボブ・ディランの楽曲
「悲しみは果てしなく」 - ボブ・ディランの楽曲
「風に吹かれて」 - ボブ・ディランの楽曲
「ミスター・タンブリン・マン」 - ボブ・ディランの楽曲
「女の如く」 - ボブ・ディランの楽曲
「サムシング」
* 「バングラ・デッシュ」

また、2005年のリマスター版には、ボーナストラックとしてボブ・ディランの「ラヴ・マイナス・ゼロ/ノーリミット」が追加収録されています。

参加ミュージシャン

このコンサートには、ジョージ・ハリスン、ボブ・ディラン、エリック・クラプトン、リンゴ・スター、ビリー・プレストン、レオン・ラッセルといった、ロック界を代表するミュージシャンたちが集結しました。また、ラヴィ・シャンカルをはじめとするインド音楽の演奏家も参加し、東西の音楽の融合も実現しました。

アルバムの意義

『バングラデシュ・コンサート』は、単なるライブアルバムとしてだけでなく、音楽の持つ力を社会に示した歴史的な作品として、今もなお多くの人々に影響を与え続けています。音楽を通じて世界を変えることができるという希望を与え、チャリティコンサートの先駆けとなったこのアルバムは、後世に語り継がれるべき音楽史の重要な一部です。

このコンサートの収益は、バングラデシュ難民の支援のために寄付され、音楽の力が社会貢献に繋がることを証明しました。このアルバムは、音楽の力を信じ、社会の不条理に立ち向かう人々の象徴として、これからも多くの人々の心を揺さぶり続けるでしょう。

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