バンテアイ・サムレ

バンテアイ・サムレは、カンボジアのアンコール遺跡群に位置する寺院遺跡であり、東バライの東側にあります。12世紀中頃、スーリヤヴァルマン2世の治世下でアンコール・ワット様式で建てられたヒンドゥー教寺院であり、「小アンコール・ワット」とも称されます。

この寺院は、高さ6メートルの外周壁に囲まれており、その名称は、インドシナ半島の古代民族サムレ（Samré）に由来します。バンテアイ・サムレとは「サムレ族の砦」を意味します。興味深いことに、この寺院は、バンテアイ・スレイと同様の材料を使用して建設されています。

1936年から1944年にかけて、フランスのモーリス・グレーズによって修復作業が行われ、現在の姿が保たれています。

構成

バンテアイ・サムレは、ほぼ正方形のラテライト製の周壁で囲まれています。外周壁と内周壁には、東西南北それぞれに塔門（ゴープラ）が設けられています。外周壁は83メートル×77メートルの大きさで、通常はラテライトのテラスから続く東門から入場します。内周壁は44メートル×38メートルで、回廊へと改造された痕跡が確認できます。

二重の周壁には連子窓が見られ、円錐形の塔を持つ中央祠堂、そして東側の基壇上には南と北にそれぞれ経蔵が配置されています。これらの構造は、当時の建築技術と宗教観を反映しています。

寺院の東西には参道が設けられており、東参道はラテライトの上に砂岩が敷かれ、延長200メートルに及びます。一方、西参道は350メートルと長く、東バライの東端まで続いており、両端には境界石が残っています。

脚注

参考文献：
片桐正夫 編『アンコール遺跡の建築学』連合出版、2001年。ISBN 4-89772-165-2。

関連事項：
アンコール遺跡

外部リンク：
* Banteay Samré - khmer-heritage.de

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