パイオニア戦志

パイオニア戦志

パイオニア戦志（パイオニアせんし）は、日本におけるプロレス団体の一つで、その活動としてインディー団体の先駆け的存在として知られています。この団体は、1986年に設立されましたが、その背景には当時のプロレス界における選手の過剰や団体間の関係の悪化がありました。

歴史と設立の経緯

元国際プロレス選手であり全日本プロレスに参加していた剛竜馬、高杉正彦、アポロ菅原の3選手が、全日本プロレスからの人員整理で解雇されたことが大きな転機となりました。全日本との戦いの中で、彼らはリングを失い、剛はお好み焼き屋を運営し、高杉はジムを経営し、菅原はコーチとして生計を立てていました。そんな中、高杉はプロレス団体設立を提案し、1988年11月15日にアニマル浜口レスリング道場にて設立記者会見を行いました。団体名はプロレス評論家の菊池孝によって、国際プロレスの「パイオニア精神」にちなんで名付けられました。

設立当初、団体のエースには剛竜馬が就任し、浦安に道場『パイオニアGYMぽぱい』を設立しました。プロレス志願者の養成にも力を入れ、1989年4月30日には後楽園ホールで旗揚げ戦を開催しました。この大会には藤波辰巳や北尾光司らを招待し、約1600人の観衆を集めました。

旗揚げ戦の実施と展開

旗揚げ戦では、剛と高杉、菅原の3人から成る団体において、メインイベントは剛と大仁田厚との試合でした。試合では剛がアキレス腱固めで大仁田を攻め、レフェリーが試合を止めましたが、大仁田はギブアップを拒否し、試合は不完全燃焼のまま終わってしまいました。この試合は観客からの不満を呼び起こし、会場内は騒然とした雰囲気に包まれました。

その後10月に開催された第2戦では、剛の姿勢に不信感を示した菅原が退団し、新倉史祐が急遽参加することとなりました。新たな対戦カードとして空手家の青柳政司も招かれましたが、試合の流れが変わり、観客の不満が噴出。これにより、団体の運営は困難を極めました。

また、パイオニア戦志は新日本プロレスとの交流戦も試みましたが、メジャー団体との力の差が明確になり、戦績も芳しくありませんでした。プロレス界において確固たる地位を築くことができず、最終的に1991年1月29日に解散を余儀なくされました。

解散後の動向

パイオニア戦志解散後、剛を始めとする選手たちは1992年にオリエンタルプロレスを設立し、新たなスタートを切りました。一方で、パイオニア戦志の運営に行き詰まった影響でSWSがその団体を吸収し、北尾光司をエースとする動きも見られましたが、選手間の反対により実現には至りませんでした。

パイオニア戦志は、デスマッチなどの刺激的な試合を行わずに正攻法のプロレスに拘り続けたこと、また興行に関する専門家が不在だったために、以降のインディー団体に対する影響力は限られていました。それでも、彼らの挑戦は日本のプロレス界において重要な一歩であり、後のインディー団体の発展につながったとも言えます。

所属選手

• - 剛竜馬
• - 高杉正彦
• - アポロ菅原
• - 金村ゆきひろ
• - 平野勝美
• - 松崎和彦
• - 川内英紀
• - 西利郎
• - 板倉広

パイオニア戦志は日本のプロレスシーンで短いながらも重要な役割を果たし、その過程で多くのファンに印象を残しました。

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