パキスタンの歴史

パキスタンの歴史：独立から現代までの道のり

パキスタンは、1947年8月14日、イギリスからの独立を経て誕生しました。インドからの分離独立という複雑な経緯をたどり、ムスリムが多く居住する地域を中心に国家が形成されました。当初はイギリス国王を元首とする英連邦王国でしたが、その後独自の道を歩むことになります。

古代からの歴史と独立

インダス川流域に栄えたインダス文明の遺跡、モヘンジョダロやハラッパーは、パキスタンの歴史の深さを物語っています。紀元前からの豊かな歴史を持つこの地は、その後、様々な勢力の支配下に置かれ、多様な文化が交錯してきました。

独立直後から、カシミール地方の帰属問題を巡り、インドとの間で第一次印パ戦争が勃発。この戦争は国連の仲介によって終結しましたが、印パ間の緊張関係の始まりとなりました。建国の父、ムハンマド・アリ・ジンナー総督の死去や、リヤーカト・アリー・ハーン首相の暗殺など、独立後のパキスタンは政治的不安定を抱えながら歩を進めました。

冷戦と軍事政権

インドへの対抗意識から、パキスタンはアメリカ合衆国との関係強化を図り、相互防衛協定を締結。SEATOやMETOといった軍事同盟にも加盟しました。この時代、アメリカ合衆国は、冷戦下におけるインドへの対抗軸としてパキスタンを重視していたのです。

1956年にはパキスタン・イスラーム共和国憲法が制定されましたが、政治の不安定は続き、1958年にはアユーブ・ハーンによる軍事クーデタが発生。軍事政権が樹立され、長きに渡る軍政時代が始まりました。

1960年代には、中ソ国境紛争を背景に、中国との接近を図り、カシミール問題への対応を模索しました。しかし、1965年の第二次印パ戦争でも決着はつかず、国連の仲介によるタシュケント宣言で停戦となりました。

バングラデシュ独立と民主化への道

1970年代に入ると、東パキスタン（現在のバングラデシュ）を襲った大規模サイクロンと、西パキスタン政府の対応への不満が爆発。1971年、東パキスタンは独立戦争を経てバングラデシュとして独立を達成しました。この出来事を契機に、パキスタンは第三次印パ戦争を経験し、ヤヒヤー・ハーン政権は崩壊。その後、民主化が進み、1973年には新しい憲法が採択されました。

しかし、民政は長く続きませんでした。1977年、ズルフィカール・ブットー首相の選挙不正疑惑をきっかけに、ジアウル・ハックによる軍事クーデタが発生。ブットー首相は処刑され、再び軍事独裁政権が誕生しました。この軍事政権下では、イスラーム原理主義の影響が強まり、国家のイスラーム化が進みました。

冷戦終結と核開発

1979年のソ連のアフガニスタン侵攻は、アメリカ合衆国とソ連の関係を悪化させました。アメリカはアフガニスタン紛争における対ソ戦略上、パキスタンの軍事政権を支援し続けました。

1980年代後半以降、パキスタンは核開発疑惑に直面し、1998年にはインドに続いて核実験を行いました。核開発は、インドとの長期にわたる緊張関係、そしてインドにおけるヒンドゥー至上主義の高まりが背景にありました。

21世紀のパキスタン

1999年にはパルヴェーズ・ムシャラフによる軍事クーデタが発生し、再び軍事政権が樹立されました。2001年のアメリカ同時多発テロ事件と続くアフガニスタン侵攻は、イスラーム化したパキスタンにとって新たな課題をもたらしました。アメリカとの関係維持と、自国のイスラーム原理主義勢力とのバランスを取りながら、パキスタンは現代も複雑な道を歩み続けています。

パキスタンの歴史は、独立、戦争、軍事政権、民主化、イスラーム化、核開発など、複雑でダイナミックな出来事が連続したものです。これらの出来事は、国際情勢と密接に関連し、パキスタン独自の道を形成する上で重要な役割を果たしてきました。今日に至るまで、パキスタンはこれらの歴史的遺産と向き合いながら、国家のアイデンティティを模索し続けていると言えるでしょう。

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