パサノ賞

パサノ賞（Passano Award）

パサノ賞は、アメリカ合衆国における医学研究分野において、顕著な業績を挙げた研究者に対して贈られる、権威ある賞です。この賞は、1945年にパサノ財団によって創設されました。その目的は、人類の健康と福祉に貢献する優れた医学的発見や革新的な研究を成し遂げた科学者の功績を称え、奨励することにあります。

本賞は毎年授与されており、長年にわたり米国の医学研究の最前線を牽引してきた多くの著名な研究者が受賞者に名を連ねています。歴代受賞者の中には、後にノーベル生理学・医学賞やノーベル化学賞を受賞した研究者も多数含まれており、パサノ賞がその時点で世界の医学・生命科学に与える影響の大きさを予見する指標の一つとも考えられています。

例えば、ジェームズ・P・アリソン（免疫チェックポイント阻害療法の発見）、デヴィッド・ジュリアス（温度・触覚受容体の発見）、トーマス・スードフ（神経伝達のメカニズム）、アンドリュー・ファイアー（RNA干渉）、エリザベス・H・ブラックバーンとキャロル・W・グライダー（テロメアとテロメラーゼ）、リーランド・ハートウェル（細胞周期制御）、バート・フォーゲルシュタイン（癌の遺伝子変異）、ジャック・ストロミンジャー（主要組織適合遺伝子複合体）、アルフレッド・ギルマン（Gタンパク質）、エドヴィン・クレープスとエドモンド・フィッシャー（プロテインリン酸化）、J・マイケル・ビショップとハロルド・ヴァーマス（癌ウイルス）、マイケル・ブラウンとジョーゼフ・ゴールドスタイン（コレステロール代謝）、ロジェ・ギルマン（視床下部ホルモン）、チャールズ・ハギンズ（ホルモン療法）、ヴィンセント・デュ・ヴィニョー（ペプチドホルモン）、ジョン・フランクリン・エンダース（ウイルス学）、エドワード・カルビン・ケンダルとフィリップ・ショウォルター・ヘンチ（副腎皮質ホルモン）、オズワルド・アベリー（DNAの遺伝情報伝達）、セルマン・ワクスマン（ストレプトマイシン）といった、医学史に名を刻むような研究者たちがこの賞を受賞しています。また、日本人研究者としては、アレルギー機構の解明で知られる石坂公成博士、石坂照子博士夫妻が1972年に受賞しています。

パサノ財団は、主要なパサノ賞に加えて、若手研究者や臨床研究者を対象とした賞も設けています。例えば、パサノ臨床医科学者は、臨床研究において顕著な業績を上げた医師や科学者を支援するものであり、Young Scientist Awardは、将来有望な若手科学者に贈られます。これらの賞は、次世代の医学研究を担う人材の育成にも寄与しています。

パサノ賞は、設立以来、医学の frontiers を開拓し、人類の健康増進に貢献した数多くの重要な発見を後押ししてきました。今後も、病気の治療法開発や予防医学の進歩に繋がる画期的な研究を続ける科学者を称え、世界の医学発展に寄与していくことが期待されています。

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