パトリシア・プティボン

フランスのモンタルジに生を受けたパトリシア・プティボン（Patricia Petibon）は、1970年2月27日生まれの著名なコロラトゥーラ・ソプラノ歌手です。

経歴と活動

パリ国立高等音楽・舞踊学校で研鑽を積み、1995年に優秀な成績で卒業しました。彼女のキャリアは、バロック音楽の大家ウィリアム・クリスティをはじめ、ジョン・エリオット・ガーディナー、マルク・ミンコフスキ、ニコラウス・アーノンクールといった世界的な指揮者たち、さらには演出家のロバート・ウィルソンらとの共同作業を通じて大きく花開きました。

プティボンのレパートリーは驚くほど幅広く、初期バロックのステファノ・ランディやリュリから、シャルパンティエ、ラモー、クープランといったフランス・バロック、ヘンデル、グルック、モーツァルト、ハイドンといった古典派、そしてオッフェンバック、ドリーブといった19世紀オペレッタ、さらにバーンスタイン、バーバー、ドビュッシー、プーランクといった20世紀の作品まで多岐にわたります。この幅広い時代の作品を歌いこなす能力は、彼女の高度な技術と柔軟な表現力、そして旺盛な知的好奇心を示すものです。

私生活

私生活では、作曲家のエリック・タンギーとの間に一子をもうけましたが、後に別離。その後、2015年にはフランスのジャズ・ヴァイオリン奏者、ディディエ・ロックウッドと再婚しています。

ディスコグラフィとフィルモグラフィ

彼女は数多くの録音と映像作品に参加しており、その一部を以下に示します。

ソロアルバム
『フランス・バロック・アリア集』（Airs baroques français, 2001年）
『レ・ファンテジー・ド・パトリシア・プティボン』（Les Fantaisies de Patricia Petibon, 2004年）
『フレンチ・タッチ』（French Touch, 2004年）
『アムール・エ・マスカラード：パーセルとイタリア』

オペラ、オラトリオ録音
バロックから古典派、19世紀作品に至るまで、様々な役柄で録音に参加しています。ウィリアム・クリスティ指揮のレザール・フロリサンとのヘンデル『エイシスとガラテア』、モーツァルト『後宮からの逃走』、シャルパンティエ『オルフェウスの冥府下り』、ラモー『イポリートとアリシー』など、古楽の分野での貢献は特に顕著です。また、モーツァルト『後宮からの逃走』のブロンデ役やマスネ『ウェルテル』のソフィー役など、キャラクターを生き生きと表現する演技力も高く評価されています。

ミサ曲・合唱曲録音
モーツァルトのミサ曲ハ短調やオルフの『カルミナ・ブラーナ』、プーランクの『スターバト・マーテル』といった宗教曲や合唱作品にも参加しており、幅広い音楽ジャンルへの適応性を示しています。

フィルモグラフィ
映像作品としては、プーランクのオペラ『カルメル派修道女の対話』のコンスタンス役、グルックの『オルフェオとエウリディーチェ』のアモール役、ラモー『優雅なインドの国々』のZima役など、オペラやバレエ作品のテレビ放送やDVD化されたものに出演しています。

パトリシア・プティボンは、その超絶技巧と個性的な表現力、そしてバロックから現代までを網羅する広範なレパートリーによって、現代の音楽界において重要な存在感を放っています。彼女の活動は、聴衆に常に新鮮な驚きと深い感動を与え続けています。

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