パラッツォ・バルベリーニ
パラッツォ・バルベリーニは、イタリアの首都ローマに位置する壮麗なバロック様式の宮殿であり、現在は国立古典絵画館として公開されています。この宮殿は、その歴史と芸術的な価値から、ローマを訪れる観光客にとって必見のスポットとなっています。
パラッツォ・バルベリーニの歴史は、17世紀初頭にまで遡ります。元々はスフォルツァ家の所有地でしたが、後にバルベリーニ家がこの地を購入しました。教皇ウルバヌス8世（バルベリーニ家出身）の命により、1620年代後半から1633年頃にかけて大規模な建設が行われました。当初、建築家カルロ・マデルノが建設を主導しましたが、彼の死後、ジャン・ロレンツォ・ベルニーニとフランチェスコ・ボッロミーニという、バロック建築を代表する二人の巨匠が後を引き継ぎました。
建設を依頼したのは、ウルバヌス8世の甥であるタッデオ・バルベリーニであったという資料もあります。当初のマデルノの設計は中庭のあるパラッツォ・ファルネーゼのような構成でしたが、ベルニーニがH字型の平面に変更し、現在の形となりました。しかし、『地球の歩き方』では、マデルノの設計段階ですでにH字型であったとも指摘されており、ベルニーニの変更については議論の余地があります。
1634年、ボッロミーニは近くのサン・カルロ・アッレ・クワトロ・フォンターネ聖堂の改修工事のため、パラッツォ・バルベリーニの建設から手を引きました。その後、ベルニーニが装飾と残りの工事を1638年に完了させました。この結果、パラッツォ・バルベリーニは、「イタリア・バロックの三大建築家」が共同で手がけた稀有な作品として、高い評価を受けることになりました。
長らくバルベリーニ家の所有でしたが、1949年にイタリア政府の所有となりました。この移管については、寄付とする説と売買とする説があります。1953年の映画『ローマの休日』では、アン王女が滞在する某国大使館の門として、パラッツォ・バルベリーニの門が使用されました。現在は、国立古典絵画館として、多くの美術ファンや観光客に親しまれています。
パラッツォ・バルベリーニは、ローマ地下鉄A線のバルベリーニ駅近くのバルベリーニ広場南東に位置しています。広場には有名なトリトーネの噴水があり、宮殿の窓からはその姿を間近に見ることができます。また、南西にはクイリナーレ宮殿が位置しています。高低差のある立地を活かし、裏面の庭園は建物の2階とほぼ同じ高さにあり、庭園側から建物に入る際には、馬に乗ったまま利用できる大階段を降りるというユニークな設計になっています。
パラッツォ・バルベリーニは、西側を正面とするH字型の3階建ての建物です。左右対称ではなく、南側が若干短くなっています。H字型の凹んだ部分には三角形の玄関があり、そこから入ると楕円形の広間を囲むように、二手に分かれた大階段が上階へと続いています。玄関の右側（南側）には螺旋階段、左側（北側）には直上階段があります。この玄関と大階段は、ベルニーニの設計によるものです。
2階には大広間と主室があり、大広間にはピエトロ・ダ・コルトーナによるフレスコ画『神の摂理の勝利』が描かれています。また、クーポラを持つコルトーナの礼拝堂も、コルトーナのフレスコ画で装飾されています。3階はかつての居室部分で、バロック期以降の作品が主に展示されています。2013年に一般公開されました。
パラッツォ・バルベリーニは、現在は国立古典絵画館として、13世紀から18世紀にかけての絵画を中心に、数々の美術品を所蔵しています。コレクションは、1893年にコルシーニ家からの寄贈で設立された国立古典絵画館を基盤としています。1949年にこの宮殿に移転し、コルシーニ宮、コロンナ宮のコレクションに加え、バルベリーニ家やキージ家の所蔵品も追加され、現在の規模となりました。館内での写真撮影は禁止されています。
以下は、国立古典絵画館の主な収蔵作品です。
1階
フィリッポ・リッピ『タルクイニアの聖母』（1437年）
フィリッポ・リッピ『二人のひざまずく寄進者のいる受胎告知』（1435年頃）
ベッリーニ『男の肖像』
ベッリーニ『キリストの祝福』
2階
ピエロ・ディ・コジモ『読書するマグダラのマリア』（1501年頃）
ラファエロ『ラ・フォルナリーナ』（1518年 - 1519年）
ジュリオ・ロマーノ『聖母子』（1522年 - 1523年）
ロレンツォ・ロット『聖カタリナの神秘の結婚と聖人たち』（1524年）
ティツィアーノ『ヴィーナスとアドニス』
ティントレット『聖ヒエロニムス』
ハンス・ホルバイン『ヘンリー8世の肖像』（1540年）
ブロンズィーノ『ステファノ4世・コロンナの肖像』（1540年）
エル・グレコ『牧者の礼拝』と『キリストの洗礼』（1596年頃）
アンニーバレ・カラッチ『若者の肖像』
ルドヴィーコ・カラッチ『老婆の肖像』
グエルチーノ『我アルカディアにあり』（1618年 - 1622年）
カラヴァッジョ『ホロフェルネスの首を斬るユーディット』（1598年 - 1599年）
カラヴァッジョ『ナルシス』（1597年 - 1599年）
カラヴァッジョ『祈る聖フランチェスコ』（1606年）
グイド・レーニ『ベアトリーチェ・チェンチ』（1600年頃）
グエルチーノ『聖ルカ』
3階
ベルニーニ『ウルバヌス8世の肖像（絵画）』（1631年 - 1632年）
ベルニーニ『ウルバヌス8世の肖像（胸像）』（1632年）
ベルニーニ『ゴリアテの首を持つダヴィド』
パラッツォ・バルベリーニへは、ローマ地下鉄A線のバルベリーニ駅から徒歩約1分です。
この宮殿は、その壮麗な建築と貴重な芸術コレクションにより、訪れる人々に深い感動と魅力を与え続けています。
歴史
パラッツォ・バルベリーニの歴史は、17世紀初頭にまで遡ります。元々はスフォルツァ家の所有地でしたが、後にバルベリーニ家がこの地を購入しました。教皇ウルバヌス8世（バルベリーニ家出身）の命により、1620年代後半から1633年頃にかけて大規模な建設が行われました。当初、建築家カルロ・マデルノが建設を主導しましたが、彼の死後、ジャン・ロレンツォ・ベルニーニとフランチェスコ・ボッロミーニという、バロック建築を代表する二人の巨匠が後を引き継ぎました。
建設を依頼したのは、ウルバヌス8世の甥であるタッデオ・バルベリーニであったという資料もあります。当初のマデルノの設計は中庭のあるパラッツォ・ファルネーゼのような構成でしたが、ベルニーニがH字型の平面に変更し、現在の形となりました。しかし、『地球の歩き方』では、マデルノの設計段階ですでにH字型であったとも指摘されており、ベルニーニの変更については議論の余地があります。
1634年、ボッロミーニは近くのサン・カルロ・アッレ・クワトロ・フォンターネ聖堂の改修工事のため、パラッツォ・バルベリーニの建設から手を引きました。その後、ベルニーニが装飾と残りの工事を1638年に完了させました。この結果、パラッツォ・バルベリーニは、「イタリア・バロックの三大建築家」が共同で手がけた稀有な作品として、高い評価を受けることになりました。
長らくバルベリーニ家の所有でしたが、1949年にイタリア政府の所有となりました。この移管については、寄付とする説と売買とする説があります。1953年の映画『ローマの休日』では、アン王女が滞在する某国大使館の門として、パラッツォ・バルベリーニの門が使用されました。現在は、国立古典絵画館として、多くの美術ファンや観光客に親しまれています。
立地
パラッツォ・バルベリーニは、ローマ地下鉄A線のバルベリーニ駅近くのバルベリーニ広場南東に位置しています。広場には有名なトリトーネの噴水があり、宮殿の窓からはその姿を間近に見ることができます。また、南西にはクイリナーレ宮殿が位置しています。高低差のある立地を活かし、裏面の庭園は建物の2階とほぼ同じ高さにあり、庭園側から建物に入る際には、馬に乗ったまま利用できる大階段を降りるというユニークな設計になっています。
建築
パラッツォ・バルベリーニは、西側を正面とするH字型の3階建ての建物です。左右対称ではなく、南側が若干短くなっています。H字型の凹んだ部分には三角形の玄関があり、そこから入ると楕円形の広間を囲むように、二手に分かれた大階段が上階へと続いています。玄関の右側（南側）には螺旋階段、左側（北側）には直上階段があります。この玄関と大階段は、ベルニーニの設計によるものです。
2階には大広間と主室があり、大広間にはピエトロ・ダ・コルトーナによるフレスコ画『神の摂理の勝利』が描かれています。また、クーポラを持つコルトーナの礼拝堂も、コルトーナのフレスコ画で装飾されています。3階はかつての居室部分で、バロック期以降の作品が主に展示されています。2013年に一般公開されました。
国立古典絵画館
パラッツォ・バルベリーニは、現在は国立古典絵画館として、13世紀から18世紀にかけての絵画を中心に、数々の美術品を所蔵しています。コレクションは、1893年にコルシーニ家からの寄贈で設立された国立古典絵画館を基盤としています。1949年にこの宮殿に移転し、コルシーニ宮、コロンナ宮のコレクションに加え、バルベリーニ家やキージ家の所蔵品も追加され、現在の規模となりました。館内での写真撮影は禁止されています。
収蔵作品の例
以下は、国立古典絵画館の主な収蔵作品です。
1階
フィリッポ・リッピ『タルクイニアの聖母』（1437年）
フィリッポ・リッピ『二人のひざまずく寄進者のいる受胎告知』（1435年頃）
ベッリーニ『男の肖像』
ベッリーニ『キリストの祝福』
2階
ピエロ・ディ・コジモ『読書するマグダラのマリア』（1501年頃）
ラファエロ『ラ・フォルナリーナ』（1518年 - 1519年）
ジュリオ・ロマーノ『聖母子』（1522年 - 1523年）
ロレンツォ・ロット『聖カタリナの神秘の結婚と聖人たち』（1524年）
ティツィアーノ『ヴィーナスとアドニス』
ティントレット『聖ヒエロニムス』
ハンス・ホルバイン『ヘンリー8世の肖像』（1540年）
ブロンズィーノ『ステファノ4世・コロンナの肖像』（1540年）
エル・グレコ『牧者の礼拝』と『キリストの洗礼』（1596年頃）
アンニーバレ・カラッチ『若者の肖像』
ルドヴィーコ・カラッチ『老婆の肖像』
グエルチーノ『我アルカディアにあり』（1618年 - 1622年）
カラヴァッジョ『ホロフェルネスの首を斬るユーディット』（1598年 - 1599年）
カラヴァッジョ『ナルシス』（1597年 - 1599年）
カラヴァッジョ『祈る聖フランチェスコ』（1606年）
グイド・レーニ『ベアトリーチェ・チェンチ』（1600年頃）
グエルチーノ『聖ルカ』
3階
ベルニーニ『ウルバヌス8世の肖像（絵画）』（1631年 - 1632年）
ベルニーニ『ウルバヌス8世の肖像（胸像）』（1632年）
ベルニーニ『ゴリアテの首を持つダヴィド』
アクセス
パラッツォ・バルベリーニへは、ローマ地下鉄A線のバルベリーニ駅から徒歩約1分です。
この宮殿は、その壮麗な建築と貴重な芸術コレクションにより、訪れる人々に深い感動と魅力を与え続けています。
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