サン・カルロ・アッレ・クワトロ・フォンターネ聖堂

サン・カルロ・アッレ・クワトロ・フォンターネ聖堂（Chiesa di San Carlo alle Quattro Fontane）は、ローマに位置するカトリック教会です。17世紀のバロック建築を代表する建築家、フランチェスコ・ボッロミーニが独立後初めて手掛けた作品として知られています。聖カルロに捧げられたローマの3つの教会の一つで、他にサン・カルロ・アイ・カティナーリ教会、サン・カルロ・アル・コルソ教会があります。

概要

教会は、9月20日通りとクイリナーレ通り、クワトロ・フォンターネ通りの交差点「クワトロ・フォンターネ」の一角に位置します。交差点の四隅には噴水が設けられ、その名が付けられました。後にベルニーニが、近くのピア通り（現在の9月20日通り）沿いにサンタンドレア・アル・クイリナーレ教会を建設しています。

限られた敷地条件の中、ボッロミーニは複雑な平面と断面構成を駆使しました。教会に隣接する回廊もピア通りに面しており、修道院の建物群が周囲を取り囲んでいます。ボッロミーニは、その背後に庭園を設計することも想定していました。

歴史

バロック建築の傑作として名高いこの教会は、キリスト教徒の奴隷解放に尽力したスペインの三位一体修道会が所有する修道院複合施設の一部として、クイリナーレの丘に建設されました。ボッロミーニは1634年、建設を後援したフランチェスコ・バルベリーニ枢機卿から依頼を受けました。バルベリーニ卿は、この聖堂のすぐ近くに宮殿を構えていました。しかし、資金援助は長くは続かず、建設プロジェクトは財政難に直面しました。修道院の建物群と回廊が先に完成し、その後、1638年から1641年にかけて教会が建設され、1646年に聖カルロ・ボッロメーオに捧げられました。波打つファサードの構想は当初からあったと考えられますが、実際に建設されたのはボッロミーニの晩年であり、上部は彼の死後に完成しました。

外観

教会のファサードは、古典様式にとらわれず、波打つような凹凸が特徴的です。高いコリント式の円柱が土台の上に立ち、主要なエンタブラチュアを支えています。これにより、上下2層と左右3部構成の枠組みが決定されています。主要な円柱の間には、さらに小さい円柱が配置され、それぞれのエンタブラチュアを支え、壁龕や窓の枠を形成しています。そこには、彫像や主玄関が配置されています。

中央上層には、天使像に支えられた楕円形の大メダルがあります。主玄関の上には、ケルビム像を両脇に配した聖カルロ・ボッロメーオ像（アントニオ・ラッジ作）があり、その左右には三位一体修道会の創設者である聖ヨハネ・マタと聖フェリックス・デ・ヴァロアの像が配置されています。

内部

教会内部は、複雑で独創的な空間構成となっています。基本は上下3層構造で、地表面の下層部、穹隅の移行層、格間のある楕円形のドーム部分に分かれています。

下層部では、主玄関の正面に主祭壇があり、それと交差する軸上に二つの祭壇があります。16本の柱が4本ずつ配置され、その上に幅広いエンタブラチュアが一周しています。基本的には十字形の設計ですが、柱の配置は斜めになっているため、全ての祭壇が同時に見えるようになっています。柱の間には、壁龕や繰形、扉が配され、全体として波打つような動きを感じさせる効果を生み出しています。この独特のリズムのある設計とその根底にある幾何学は、建築史上重要視されており、教会の象徴性やボッロミーニの才能を示すものとして評価されています。

穹隅の層は、下層の十字形の波打つ形状から、ドームの楕円形の開口部へと移行させる役割を果たしています。4つのグループに分かれている下層の柱から、対角線上にアーチが伸び、楕円形のエンタブラチュアを支えています。

ドームは、楕円形のエンタブラチュアの上に構築され、内壁には八角形、十字形、六角形を組み合わせた格間が施されています。格間は、上に行くほど小さくなっており、ドーム基部の四方にある窓と頂上の天窓から光が差し込むようになっています。特に、聖三位一体のシンボルが描かれた天窓は最も明るく、ドーム内壁の格間は下にいくほど徐々に暗くなっています。

地下聖堂

地下聖堂は、地上とほぼ同じ形と広さを持ち、天井は低くなっています。南東部分には、ボッロミーニが自身の埋葬場所として希望していた礼拝室があります。地下聖堂も大小の壁龕が壁に並び、波打つような形状をしています。

回廊

教会の隣には、2層構造の回廊があります。玄関方向の軸が長い長方形ですが、角が斜めに切り取られているため、長い八角形と見ることもできます。12本の柱は、上部がアーチになっている部分と平らになっている部分が交互に並んでいます。角の部分は斜めになっており、上層の手摺の手すり子は独特の形状をしています。中央には八角形の井戸があり、上層の柱の柱頭も八角形になっており、全体の幾何学的なテーマが強調されています。

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