パーヴェル・ナヒーモフ

パーヴェル・ステパーノヴィチ・ナヒーモフの生涯

パーヴェル・ステパーノヴィチ・ナヒーモフ（1802年7月5日 - 1855年7月12日）は、ロシア海軍の著名な提督で、その卓越した指揮能力と軍人としての功績で知られています。ナヒーモフは、スモレンスク県ヴャゼムスキー郡の小さな村で軍人の子として生まれ、若い頃から海軍の世界に飛び込む運命にありました。

軍人としての出発

1818年、ナヒーモフはサンクトペテルブルクの海軍幼年学校を卒業し、バルト艦隊に配属されました。彼はその後、1822年から1825年にかけてフリゲート「クレーイセル」の世界一周航海に参加し、これが彼の海軍キャリアの重要な一部となりました。

戦争と栄光

1827年には、ギリシャ独立戦争の激戦地であるナヴァリノの海戦に参加し、戦列艦「アゾフ」の乗員として数々の困難な状況に立ち向かいました。さらに、コルベット「ナヴァリン」を指揮し、ダーダネルス海峡の封鎖に携わるなど、彼の軍事的能力は多くの場面で発揮されました。

再びロシアに戻ったナヒーモフは、1834年に黒海艦隊に加わり、戦列艦「シリストリヤ」の艦長となり、1845年には旅団長へと昇進しました。1852年には師団長に就任し、その後、1854年に黒海艦隊の司令長官としての役割を任されました。

クリミア戦争と最期

1853年12月1日、ナヒーモフはクリミア戦争中にシノープの海戦でトルコ艦隊を壊滅させるという驚異的な成果を上げました。この勝利は彼の名声を高め、海軍の士気を上げる重要な一歩となりました。その後、1855年2月からはセヴァストーポリ要塞の防衛を指揮し、激しい攻防の中でその能力を示しましたが、同年7月12日、戦闘中に銃弾を受けて戦死しました。

彼の遺産

ナヒーモフの功績は、1944年に制定されたナヒーモフ勲章（一等、二等）やナヒーモフ・メダルによって広く顕彰されています。これにより、彼の名はロシア海軍の歴史の中で永続的な存在となりました。また、1959年にはセヴァストーポリ市に彼を称えた記念碑が建設されるなど、彼の名声は今もなお生き続けています。

加えて、ソ連およびロシア連邦では彼の名を冠した海軍幼年学校（ナヒーモフ海軍学校）が設立され、艦艇にも「アドミラル・ナヒーモフ」という名がつけられています。さらには、小惑星番号5667のナヒモスカヤも彼にちなんで名付けられるなど、彼の名前は宇宙にまで広がるほど深い影響を持っています。

パーヴェル・ナヒーモフは、ただの軍人ではなく、ロシアの海軍の象徴ともいえる人物であり、その勇敢な行動やリーダーシップは、今もなお多くの人々に尊敬されています。

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