ヒシモドキ

ヒシモドキの概要

ヒシモドキ（学名：Trapella sinensis）はオオバコ科に属する多年生の水草であり、湿地や池の周辺に生息しています。その名は、ヒシ科の植物であるヒシに見た目が似ていることに由来しています。植物の特性や生態についての理解を深めるために、ヒシモドキの詳細を見ていきましょう。

分布と生息地

ヒシモドキは日本の北海道、特に十勝地方を含む本州、九州、さらには朝鮮半島や中国などの東アジアに広がっています。これらの地域には温暖な気候があり、丘陵地域の池や沼でよく見られます。水辺に生息するこの植物は、その環境に適応した独特の形態を持っています。

植物の特徴

ヒシモドキは、地下の泥の中でしっかりと根を張り、長い茎を伸ばして成長します。葉は対生で、水中葉と水上葉の2種類が存在します。

• - 水中葉：披針形から線状となり、疎らな鋸歯が見られます。
• - 水上葉：腎臓型で広円形をしており、先端は鈍く、植物の縁に波状の鋸歯があり、サイズは長さが2～3.5cm、幅が2.5～4cmに達します。葉の表面には3本の太い脈が走り、質は薄いです。

花の特徴

ヒシモドキの花は、7月から9月にかけて葉の腋から花柄を伸ばし、まず1輪の花が咲きます。通常、正常な花の他にも多くの閉鎖花が付いています。花は淡い紅色をしており、筒状の形を持つ両性花です。花の先端は五裂して唇のような形になります。

雄蕊は4本で、そのうちの上側の一対は花粉を持たない仮雄蕊です。萼と子房の間は半分癒着しており、子房は半下位で2室構造ですが、実際に成熟するのは1室のみです。胚珠は2個が下向きに垂れ下がっています。萼の先は短く五裂して果実になる際に重要な役割を果たします。

果実の特徴

ヒシモドキの果実は円柱状の閉果で、1つの種子を含みます。果実の萼裂片の下部には3～5列の棘状突起があり、これらが果実よりも長く伸びて大きな角状の萼包を形成します。この特徴的な構造が果実の保護や散布に寄与しています。

まとめ

以上のように、ヒシモドキはそのユニークな形態と美しい花により、湿地の生態系において重要な役割を持つ植物です。環境によく適応し、自然の中で魅力的な存在であり続けています。その分布は広く、成長する場所によって異なる特性を見せることもあります。

参考文献

• - 『日本大百科全書〈19〉』小学館、1987年。
• - 『大日本百科事典 18 は-ひと―ジャポニカ』小学館、1970年。
• - 牧野 富太郎『牧野新日本植物図鑑』1989年。

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