ヒパクロサウルス

ヒパクロサウルス (Hypacrosaurus)

ヒパクロサウルスは、文献によると「最高に近いトカゲ」という意味を持つ名前が付けられたカモノハシ恐竜の一種です。大きさはティラノサウルスに匹敵し、主に北米のカナダ・アルバータ州やアメリカ・モンタナ州で後期白亜紀（約7500万〜6700万年前）に生息していたことが分かっています。この属は、コリトサウルスに似た外見を持っており、他のカモノハシ恐竜と同様に高く中空に盛り上がった鶏冠を持っていますが、その形状はコリトサウルスほど大きく真っ直ぐではありませんでした。1990年代には、H. stebingeri の巣や卵、孵化したばかりの子供が発見されるまで、あまり注目されていなかった恐竜です。

特徴

ヒパクロサウルスのもっとも顕著な特徴は、その高い棘突起や独特の鶏冠です。鶏冠はコリトサウルスのものに似ていますが、より尖っていて上下方向にはそれほど高くなく、横に広がった形状をしています。さらに、H. altispinus ではその内部にS字形の空気の通り道がない点が特徴的です。体長は約9.1メートル、体重は4トンほどと推定されています。

この恐竜は、二足歩行または四足歩行を可能にし、主に植物を食べていたと考えられています。現在知られている種はH. altispinusとH. stebingeriの2種ですが、後者は前者に近い移行種であるとされています。実際、H. stebingeriの成熟した個体の頭骨は、H. altispinusと非常に似通っていることが示されています。

分類

ヒパクロサウルスはハドロサウルス科に属し、特にランベオサウルス亜科に近いとされています。ジャック・ホーナーやフィル・カリによる1994年の研究では、H. stebingeriがランベオサウルスからヒパクロサウルスへの移行段階に当たるとされました。さらに、2004年にはニッポノサウルスとの関連性が検討されましたが、その後の研究によってヒパクロサウルスはコリトサウルスとオロロティタンにより近縁であるとの結果が出ています。

発見と歴史

ヒパクロサウルスのタイプ標本は、1910年にアメリカ自然史博物館のためにバーナム・ブラウンによって収集されました。この化石は部分的な骨格で、頭部は含まれていませんが、いくつかの椎骨と骨盤の一部が含まれています。これらはカナダのアルバータ州のホースシューキャニオン累層から発見されたもので、ブラウンはこれを1913年に新属として記載しました。

その後、ヒパクロサウルスに関する化石がさらに発見され、様々な種や属が提唱されましたが、特に小さな中空の鶏冠を持つカモノハシ恐竜の発見が注目されています。

種について

ヒパクロサウルスにはタイプ種であるH. altispinusの他に、H. stebingeriという新種も存在します。H. altispinusは幼年期から成体までの個体に基づいて知られており、H. stebingeriは不確定ですが数多くの幼体から知られています。これらの種は、特に知識の乏しい部分を明らかにするための研究対象とされています。

古生態

H. altispinusは、多様な恐竜と共存していたことで知られています。彼らは草食であり、他の恐竜と食物を共有して生活していたと考えられています。H. stebingeriが見つかった地層では、恐竜の巣や卵、成長過程の化石が豊富に発見されています。

成長と鶏冠の機能

H. stebingeriは短径18.5 cm、長径20 cmの卵を生産し、孵化した際にはおおよそ体長1.7メートルとなったと推測されています。頭骨の成長は早く、一般的には数年で性的成熟に達したとされます。また、鶏冠は種や性別を認識するための促進機能や社会的な役割を持っていた可能性が高いです。

このように、ヒパクロサウルスは多様な生態系の中で重要な役割を果たし、その化石は私たちに古生物学的な貴重な情報を提供しています。

もう一度検索